緊急事態宣言拡大、経済損失1兆円 延長や全国拡大なれば「日本経済へ最後の一撃」
疲労蓄積、期間延長なら「日本経済への最後の一撃」にも
しかし、昨年2月以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響は経済の多方面に累積している状態だ。企業の財務状況や、雇用環境、所得状況などはすでに大きく悪化している。
第一生命経済研究所の永濱利廣・首席エコノミストによると、失業者の増加は国内総生産(GDP)の悪化に2四半期遅れて反映されるため、「今回の緊急事態宣言発出が雇用環境に及ぼす影響は今年の夏場にかけて拡大する可能性がある」と指摘する。
賃金に至っては、すでに残業代の減少や業績悪化に伴うボーナス削減などの影響が出始めているが、肝心の基本給については今年度の企業業績が反映される今年の春闘でコロナショックの影響が織り込まれることから、永濱氏は「家計の所得環境の悪化はこれからが本番」とみている。
大和総研の神田氏は「経済損失の金額自体は昨年時より小さいとはいえ、企業の『肌感覚』としては見かけの数字よりも厳しいだろう」と指摘する。
財政支援の余地がそれほど大きくないことも課題だ。神田氏の試算では、昨年からのコロナ対策に関連する財政支援のうち、投資や事業活動維持への支援金を除く「経済的な資産として残らない支援金」はおよそ40兆円に上るという。国の財政支出の最大費目である社会保障関係費1年間分をしのぐ金額だ。
緊急事態宣言が1カ月以上に長引く、あるいは全国への対象拡大となった場合には「日本経済にとって、最後の一撃となる可能性もある」(神田氏)という。
(中川泉 編集:田中志保)
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