今夏の東芝株主総会、経産省の参与がハーバード大の基金運用ファンドに干渉か
機関投資家の間では、共同で議決権行使をする「合意」の定義が当局の裁量による部分が大きいとして、一層の明確化を求める声が出ている。
ロイターの問い合わせに対し、ハーバードはコメントを控えた。経産省は「参与の仕事として個別の投資家への働きかけを水野氏に依頼することはない。したがって、(この件に関して)コメントする立場にない」と述べた。
水野氏には質問項目を書簡で送付。ツイッターを通じてメッセージも送った。23日の記事配信までに回答を得られなかったが、同氏はその後、ツイッターに記事の内容は遺憾だとするコメントを投稿した。
水野氏は「私は経産省参与で、ハーバードのシニアフェロー、同基金とは長年の信頼関係にあり、その上で相談に乗ることはありますが、匿名条件の関係者の証言に基づいた本記事はCEO・CIOが経産省の私に脅されて議決権行使方針を決定したかのように書かれており極めて遺憾です」とした。
東芝はコメントする立場にないとした。エフィッシモは回答を控えた。
問題視するエフィッシモは臨時株主総会を要請
東芝の定時株主総会を巡っては、かねてから経産省が議決権行使に干渉していた疑いが浮上している。 エフィッシモは今月17日、東芝に臨時株主総会の招集を要請。「圧力により議決権行使を行うことを断念した株主が存在している」とし、定時株主総会が公正に運営されたかどうかを調査する弁護士3人の選任を求めた。
関係者の1人はロイターに対し、「水野氏と東芝の間につながりがあるのかどうか、独立した委員による調査が行われることは極めて妥当」と指摘。「(東芝の)定時総会の運営を巡って報じられている諸問題は、資本市場の透明性や機能向上のために政府が尽力しているコーポレートガバナンスの核心に触れるものだ」と語った。
7月末の定時株主総会は、東芝の車谷暢昭社長が57%の賛同を得て取締役に再任された。エフィッシモの提案した取締役候補3人の選任はいずれも否決されたものの、1人は44%の賛同を得た。
(山崎牧子 取材協力:Daniel Leussink 編集:久保信博)
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