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展望2021:決済高度化へ、日銀デジタル通貨検討で民間と議論深化=自民・村井議員

2020年12月30日(水)11時00分

自民党の村井英樹衆院議員はロイターとのインタビューで、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討を進めていくにあたり、来年は民間事業者と当局が議論を深めて互いの認識を共有していくことがテーマになると指摘した。写真はイメージ。2017年6月撮影(2020年 ロイター/Thomas White)

自民党の村井英樹衆院議員はロイターとのインタビューで、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討を進めていくにあたり、来年は民間事業者と当局が議論を深めて互いの認識を共有していくことがテーマになると指摘した。その中で、日本の決済の最善の在り方を模索していくのが望ましいとの考えを示した。

村井氏は自民党の金融調査会デジタルマネー推進プロジェクトチーム(PT)で座長を務める。同PTは、他国の状況を鑑みて日本もCBDCに対する取り組みを加速する必要があると強調する提言を今月まとめた。

村井氏は、デジタル通貨には、決済の高度化、通貨主権の確保、国際通貨体制の維持という3つの観点があると指摘。それぞれの必要性や有用性について「検討は積極的に進めるべきだ」と述べた。

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日本はこれまで民間事業者が主導して決済の利便性や運用性を高めてきた経緯もあり、「民間のビジネスを阻害しないかたちで進めていくのが大前提」としつつ、「今後は、民間事業者にCBDCの内容を理解してもらうことが重要。当局も民間事業者が今まで何を取り組んできて、この先どうしようとしているのか理解することが必要になる」と語った。

PTでは党の経済成長戦略本部に出した提言で、日銀、財務省、金融庁、民間事業者が連絡協議会を設置するなどしてCBDCの実証実験の状況などを共有するべきだとしており、実際に当局と民間が意思疎通を図る組織を立ち上げることに期待感を示した。決済の高度化は日銀と金融庁、通貨主権の確保や国際通貨体制の維持は財務省と日銀がそれぞれ主たる役割を担うイメージがあるという。

PTの提言は、2021年度中までに日銀が基礎的な概念実証(フェーズ1)を完了させ、22年度中には発展的な概念実証(フェーズ2)を行うよう求めている。その結果を踏まえて民間事業者や消費者が参加する実地試験を速やかにスタートし、発行の実現可能性と具体的な制度設計について一定の結論を得ることを目指すべきだとした。

「円」、安全通貨としての地位揺らぐ可能性

最終的に政府に出された提言では、中国が今年10月にデジタル人民元発行に向けた実証実験を成功裏に終えたとの言及があり、中国の動きに対する警戒感もにじんでいた。村井氏は「人民元の存在がグローバルになっていない、国際化しきれてないので、円が安全通貨としてのポジションを守られているという側面が強い」と指摘。その上で「安全通貨としての円が揺らいだ瞬間に、財政とかの兼ね合いでもいろんな問題が起き得ると思う」と述べた。

重ねて「日本は経常黒字、国際的な純資産残高トップ、決済のしやすさなどいくつかの要因で一応、安全通貨の地位を保っている。それが中国に平気でとって代われる可能性はあると思う。現状が変わるということは、日本にとって非常に危ないことだ」との認識を示した。

CBDCを巡っては日銀のほか、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)など7つの中央銀行と国際決済銀行(BIS)が共同で研究を進めている。専門家からは、7中銀とBISの連携について「中国に対するある種の包囲網だ」との指摘も出ている。

*インタビューは22日に実施しました。

(杉山健太郎 :編集:石田仁志)

[ロイター]


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