最新記事

ネットビジネス

年収30億円のカリスマインフルエンサー「口紅王子」はなぜ儲かる? 資生堂、カルビーなどもオファー殺到する中国の「ライブコマース」

2020年11月19日(木)15時00分
中島 恵(フリージャーナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載

資生堂の積極的な動きでも分かる通り、「独身の日」は新型コロナで売り上げ低迷に喘あえぐ日本企業にとっても大きな商機で、たくさんの日本企業がこの日のセールに参戦している。日本の商品は越境ECという形で今回も販売されたが、海外からの輸入製品の中で最も人気なのが日本の商品だった。日本は2016年からずっとトップの座をキープしており、今年5年連続で第1位をキープした(続いて、アメリカ、韓国の順)。

日本製品で売れたのはヤーマン、花王、資生堂などの商品だ。商品別でみると、ヤーマンの美顔器をはじめ、化粧品、日用品などが目立つ。日本の美容関連商品が売れる背景にあるのは、中国のネット通販利用者の半数以上を占める20~30代の若者の美容や化粧への高い意識だ。

美容に目覚めた若者たちの間で人気

かつて、多くの中国人女性にはお化粧をするという習慣がなかったが、2015年ごろから急激に美容に対する意識が高まった。SNSが普及して、自撮りをする女性が増え、自意識が高まったことや、海外ファッションやトレンドへの関心、経済的な余裕が背景にある。中国では若い女性だけでなく、若い男性も美容への関心が高く、上海に住む私の知人の男性(29歳)も、アンチエイジング化粧品を定期的にネット通販で購入し、使っていると話していた。中国や欧米の化粧品ブランドも人気があるが、日本製品には信頼感と安心感があり、人気がある。

新型コロナが発生する以前は「美容整形のために日本に行っていた」という若い女性もかなり多かったが、今年はそれもできなくなってしまった。いつになったら自由に海外渡航できるかまだ誰にもわからないが、今年1~6月に中国のオンライン旅行大手のシートリップが行った調査によると、日本は「コロナ後に行きたい国」の第1位になったそうだ。そうしたこともあって、「独身の日」セールでも日本製品を欲しいと思う人が多かったようだ。

現在、大流行中のライブコマースという新しい手法は日本企業にとっても数少ない売り上げ増加の希望の星だ。つくづくそう考えさせられた今年の「独身の日」だった。

※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg

ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中