中国EVスタートアップ、コロナショックから活気取り戻す 好調なテスラが刺激
フー氏は「現在のスマートカー、コネクテッドカーはまだ、スマートではない。やっと玄関を出たところで、初代のiPhone1の段階にあると言えそうだ」と説明する。
ただ、徐々に開発が進み「近い将来にiPhone8、9、10にたどり着けるだろう」と見ている。
また、燃料費の安さも、EV人気の重要な要素となっている。最近、ガソリン車から愛馳汽車のスポーツ多目的車(SUV)「U5」に切り替えた江蘇州蘇州市の男性は、自宅の車庫に充電設備を整えて使い始めたが「ガソリン車に比べると(燃料費は)無きに等しい」と語る。
個人が保有
中国のEVスタートアップ「第1陣」は主に、ライドシェア企業の滴滴出行や配車サービス企業に納入やリースを行っていた。EV促進政策の恩恵を受けていた企業だ。
しかし、愛馳汽車や上海蔚来汽車のトップは、今市場を引っ張っているのは個人や、EVへの純粋な関心だと実感している。
特に顕著な例は、テスラのセダン「モデル3」の好調ぶりだ。同車種は購入補助後の価格が27万元(3万9750ドル)と、多くの顧客が比較的手ごろと考える値段設定となっている。
拜騰汽車や奇点汽車のように、昨年の落ち込みからまだ、立ち直れない企業があるのも確かだ。
しかし、スタートアップ幹部らは、今年は昨年に比べて資金調達が著しく容易になり、自信も増してきたと語っている。
需要は好調
新エネルギー車の販売は1年余り前から落ち込み始め、今年6月まで12カ月にわたって前年同月比で減少を続けていた。だが、今年7月は19.3%増と反転し、8月には26%も増えた。
LMCオートモティブの予想では、新エネルギー車の乗用車の販売は今年8.9%減少するが、来年は48.4%増えて152万台に達し、全乗用車販売の7%を占めそうだ。
上海蔚来汽車の場合、第2・四半期に販売台数が急増して売上総利益率が黒字転換。営業損失も大幅に縮小した。
同社のリー最高経営責任者(CEO)は、ロイターに対し「需要は非常に強い。今わが社に新車を注文しても、納入まで相当長い間お待たせすることになる。わが社にとって、第4・四半期の一番の課題は生産能力の向上だ」と語った。