トランプの制裁措置、中国ハイテク株人気呼ぶ サーバーからOSまで国内調達の動き

米国が中国ハイテク企業への締め付けを強める中、中国の政府機関や国有企業はコンピューター・ネットワークで利用する米国製品を自国製品に切り替える努力を進めている。このため投資家の間では中国ハイテク企業株が有望視され、株価が上昇している。写真は上海で、2019年7月撮影(2020年 ロイター/Aly Song)
米国が中国ハイテク企業への締め付けを強める中、中国の政府機関や国有企業はコンピューター・ネットワークで利用する米国製品を自国製品に切り替える努力を進めている。このため投資家の間では中国ハイテク企業株が有望視され、株価が上昇している。
ここ数カ月、中国地方政府と中国電信(チャイナ・テレコム)などの国有企業は国内産業の育成を狙い、製品の調達先をマイクロソフト、オラクル、IBMなどの米国企業から国内企業に変更する計画を打ち出している。
中国IT株<.CSIINT>の指数は年初から30%近く値上がりし、上昇率は優良株指数<.CSI300>の2倍に達した。
スーチョウ証券のウー・カン氏は「米国による中国への制裁措置はさらに増え、将来は『1つの世界、2つのシステム』という姿になりそうだ」と話す。
ウー氏が投資するのは中国軟件与技術服務<600536.SS>や中国長城科技集団<000066.SZ>、金山軟件<688111.SS>といった主要ハイテク企業の株だ。
中国ハイテク企業株の株価収益率(PER)は60倍程度に達しており、過熱を指摘する声もある。これらの企業が世界の主要企業に追いつくには何年も要する可能性があるからだ。
しかしウー氏は、潜在的な成長力と政府の直接支援を踏まえれば、正当化できる株価水準だと言う。
ロベコの中国調査責任者、ジー・ルー氏は、米国の圧力を受け、「中国は半導体などの極めて重要な産業への投資と研究開発を強化するだろう」と話した。
Kunpeng推し
地方政府は通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)のサーバー用プロセッサー「Kunpeng」の利用拡大に向け、業界内の連携を後押ししている。
先週は中国聯合通信(チャイナ・ユニコム)の子会社が、Kunpengを用いたサーバーとパソコンを作る企業と提携。5月には神州数碼(デジタル・チャイナ)<000034.SZ>がKunpengのCPU(中央処理装置)を搭載したPCとサーバーの製造工場を建設中だと発表した。
やはり5月、中国電信は今年調達するサーバー5万6314台の5分の1について、米インテルやAMDと競合するKunpeng、もしくは中国メーカー、海光(Hygon)の半導体「Dhyana」を搭載した製品にすると発表した。半導体調達を国内化する姿勢をアピールしたものとみられる。
現在、中国のサーバーの約95%はインテルのCPUを搭載。仮にトランプ米大統領がインテルに対し、中国へのCPU販売を禁じれば悲惨な事態になるとの指摘もある。