コロナショックに直撃された非正規女性 仕事失い生活も苦しく
厚生労働省によると、新型コロナの影響で雇い止めや解雇となった人の数は、9日時点で見込みも含め2万人を超えた。その多くは非正規で、6月に入ってから雇用情勢は急速に悪化している。写真は4月1日、東京・六本木で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)
「女性が輝く社会」を掲げたアベノミクスのもと、女性の就業率は70%を超えるまでに上昇した。しかし、その多くはパート、アルバイト、派遣などの非正規雇用であり、こうした層は新型コロナウイルスによって最も打撃を受けている。
厚生労働省によると、新型コロナの影響で雇い止めや解雇となった人の数は、9日時点で見込みも含め2万人を超えた。その多くは非正規で、6月に入ってから雇用情勢は急速に悪化している。総務省が5月29日に発表した労働力調査によると、4月は非正規の職員・従業員数が前年比97万人減少、そのうち71万人が女性だった。
女性の就業について詳しい元淑徳大学教授でジャーナリストの野村浩子氏は、「明らかにまず女性から切られていることがわかる」と指摘、「最初に切られるのはパート・アルバイトで、ここには女性が多い」と話す。
また、「リーマン・ショックのときは輸出型大企業、金融が痛んで、大企業が打撃を受けて派遣切りが起きたが、今回は内需サービスが新型コロナの影響を最も受けた。宿泊・飲食サービス業で働く人は女性が6割を占める。そのうち75%が非正規。ここで一番雇用が減っている」と分析している。
野村氏によると、職を失ったり収入が減ることによって最も貧困状態に陥りやすいのはシングルマザー、次いで一人暮らしの独身女性だという。
森山翔子さんは広島に住む31歳のシングルマザー。6歳の男の子と4歳の双子の女の子がいる。新型コロナの影響で幼稚園が休園となったため、10カ月前からパートで働いていた物流関連会社の仕事を休まなければならなくなった。「パートで月に決まった給料、出勤しただけもらえる給料がなくなったので、パートの仕事を休んでからは、基本的に収入はゼロになり、フリーランスの方でもらえる分だけになった。(フリーランスの状況は)正直、厳しいところ」と話す。
子どもたちと過ごす毎日に「夏休みだと、外に行く場所とかを考えられたけど、家で過ごすとなったら本当に何をしたら良いかわからなかった」という。
43歳のシングルマザーAさんは、8歳の息子を育てながら、人材サービス会社に派遣社員として1年半勤めていた。5月半ば、新型コロナの影響で7月からは契約を更新しないと告げられた。Aさんは派遣社員のため在宅勤務は許可されないと言われた。同じ仕事をしている正社員はテレワークをしている。子どもの学校が休校となり、学童保育も閉鎖されてしまったため、Aさんは仕方なく、自宅待機を選んだ。