個人のFX取引が活況、テレワークが後押し 人気はメキシコペソ
個人投資家の外国為替証拠金取引(FX)が活況を呈している。新型コロナウイルス懸念による大きな相場変動が収益期待を高めていることに加え、在宅勤務の広がりも顧客のすそ野拡大につながっているという。最近人気の投資先はメキシコペソだ。写真はメキシコペソと米ドル。メキシコシティ で2015年7月撮影(2020年 ロイター/Edgard Garrido)
個人投資家の外国為替証拠金取引(FX)が活況を呈している。新型コロナウイルス懸念による大きな相場変動が収益期待を高めていることに加え、在宅勤務の広がりも顧客のすそ野拡大につながっているという。最近人気の投資先はメキシコペソだ。
4月取引高は前年比倍増、勢い衰えず
金融先物取引業協会によると、会員54社を通じた4月の取引金額は513兆円と、2008年の統計開始以来4番目の規模となった。過去最大となった3月の1015兆円からは減少したが、前年比では倍増。3カ月連続の取引増は17年秋以来のことだ。
3月の取引高は、これまで最大だったスイスフラン・ショックの15年1月に記録した660兆円の倍近い規模だった。この数年ほとんど動きのなかったドル/円が突然動意を見せ、1─3月の値幅が上下11円と、米トランプ政権が発足した16年10─12月以来の大きさに達したことが主因だった。
このため、4月は反動減を想定する声が大勢だった。実際、対円相場の中で最も取引量が多いドル/円は3月から54%減少。ポンド/円は45%減、豪ドル/円は36%減と軒並み大きく減少した。
しかし、前年比で見ると様相は異なる。ドル/円は3月の5.3倍に続き、4月も2.7倍。豪ドル/円は3月が4倍増で4月も1.5倍増となった。最近人気のメキシコペソに至っては、額が小さいこともあるが、3月が29倍、4月は17倍と大幅な増加となった。
在宅業務の合間に相場チェック
増勢を支える主因は、根強い相場変動期待にある。市場が落ち着いてきたとはいえ、ドルの年初来変動幅はすでに上下11円を超えた。昨年は年間で過去最低の8.3円、瞬間的な変動だった1月のフラッシュ・クラッシュを除くと実質的には5円程度だったことを考えれば、値幅取りが狙えそうな機会は増している。
そうした環境下、在宅勤務を始める人が急増したことも、取引増にひと役買ったという。「オフィスでは行いづらい日中取引を、業務の合間に行う余裕が生まれた」(証券)ようで、ある大手FX会社の口座開設数は「3月ほどではないが、4月も3─4割は増えた。間違いなく在宅勤務が効いている」(幹部)という。