東京封鎖を警戒する金融市場 「安倍首相の最大級対策でも不十分」の声
日本株には円高懸念も
足元では、金融市場のパニック的な雰囲気は幾分和らいでいる。個人や企業のドル需要が高まる中、銀行やファンドは資産を売却して現金化を急いでいたが、中銀の圧倒的な流動性供給策による「物量作戦」でドル不足は緩和されてきた。株安・債券安の同時安フェーズから株安・債券高の「ノーマル」なリスクオフに移行しつつある。
米連邦準備理事会(FRB)が27日朝に実施したターム物レポオペは入札がなかった。入札がゼロとなったのは昨年の開始以来初めてだ。ドル需要の緩和を示しているとみられており、円をドルに換える際に支払うベーシスも縮小している。
しかし、この状況は日本株にとっては必ずしも好環境とはいえない。金融市場全体では回復方向と言えるが、対ドルでの円高圧力になるからだ。ドルインデックスは3年ぶり高値の102ポイントから98ポイントまで低下。ドル/円は週末を挟んで約2円下落した。
キャリートレードの巻き戻しによる円高が起こりにくくなったとはいえ、日米金利差は約7年半ぶりの低水準。日本の緊急経済対策に伴う国債増発は前倒し債で吸収されるとの見方が多いが、都市が封鎖され景気悪化が長引く中で追加の経済対策が必要になれば、市中発行増額の懸念は強まる。そうなれば日米金利差はさらに縮まりかねない。
金融緩和と大規模な財政政策は、企業の利益率改善と相まって、爆発的な株高要因となる可能性がある。だが、それは新型コロナウイルスの終息が見えてからの話だ。目先は都市封鎖と景気悪化への警戒感が、日本株を上から圧迫するとみられている。
(編集:青山敦子)
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