デモで疲弊した香港経済、新型コロナウイルスが「とどめの一撃」
香港小売管理協会は、小売業の存続を脅かす「極寒の冬」が来たと指摘する。春節(旧正月)最初の10日間に小売業は前年同期比で平均30―50%減少し、宝石や時計、化粧品、衣料品などは最大80%も落ち込んだ。
レストランチェーンの叙福楼集団(LHグループ)は今月13日から鍋料理チェーンの「しゃぶしゃぶ温野菜」と「モーモークラブ」の営業を一時的に停止した。宝飾品販売の周大福珠宝は香港とマカオで売り場40カ所を一時閉鎖し、その他の売り場も営業時間を短縮している。
化粧品小売りのサ・サ・インターナショナル・ホールディングス(莎莎国際)は一部店舗を閉鎖。3月から5月にかけてコストを3分の1削減するため、香港の従業員を最大3%、給与を10―40%、それぞれ減らすとしている。
チョン・クォックツィンさん(61)は、これまでペニンシュラ・グループ傘下のレストランなどで月に2週間働いて日給800香港ドル(約1万1000円)を稼ぎ、家賃その他の生活費をなんとか賄っていた。これらのレストランは、2月に入って2日しか営業していない。
「食費さえ賄えない。どうしようもない。時にはパン数枚で終わることもある」とクォックツィンさんは嘆いた。
(Sarah Wu記者、Donny Kwok記者)
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