最新記事

事件

フランス当局、ゴーン被告疑惑を本格捜査へ ルノー資金の不正使用巡り

2020年2月20日(木)10時00分

フランス検察当局は19日、自動車大手ルノーの前会長カルロス・ゴーン被告が会社資金を不正使用した疑惑の捜査を拡充すると発表した。より広い権限を持つ判事に捜査の指揮を委ね、本格捜査を開始する。ベイルートで1月撮影(2020年 ロイター/Mohamed Azakir)

フランス検察当局は19日、自動車大手ルノーの前会長カルロス・ゴーン被告が会社資金を不正使用した疑惑について、容疑者の拘束や国際手配などの権限がある予審判事に捜査の指揮を委ね、本格捜査を開始すると発表した。

パリ近郊ナンテール検察は昨年から、ゴーン被告が妻のためにベルサイユ宮殿で開いた祝宴の費用などを巡り捜査を進めていた。

今後は、予審判事が、ルノーや特定の人物に絡む複数の疑惑を捜査する。関係筋によると、特定の人物にはゴーン被告が含まれる。検察によると、ルノーとオマーンの販売代理店の間の資金の流れや旅行およびイベントの費用に関して不正が疑われている。

ゴーン被告の弁護士ジャンイブ・ルボルニュ氏はロイターに対し、弁護側の主張を説明する機会が与えられるのを歓迎するとコメント。「捜査資料の開示をやっと受けられることになれば、その後に予審判事に対してわれわれ側の説明を行う」と述べた。

ゴーン被告は日本で金融商品取引法違反などの罪に問われ、保釈中にレバノンに逃亡。これまで繰り返し、不正を否定している。

仏検察は、ゴーン被告が2016年に開いた妻の誕生パーティーの費用として、ルノーの資金と認識して充てたかどうかについて捜査を進めてきた。

被告の弁護団はこれまで、不正はなかったが、誰が費用を負担するかについてベルサイユ宮殿側とパーティー企画者との間に誤解が生じていた可能性があると述べている。

司法筋によると、2014年にベルサイユ宮殿で開かれた日産・ルノー連合の15周年を祝うパーティーも、捜査対象になる見通し。

ゴーン被告は1月の記者会見で、パーティーに招待されたゲストの大半が被告の友人と親族だったとの疑惑を否定し、取引先が招待されたと述べている。パーティー費用は、オランダにある企業連合の統括会社「ルノー日産BV(RNBV)」が負担した。

ルノーはゴーン被告に関する社内調査を行っており、昨年、調査で得た情報を検察に引き渡していた。

*内容を追加しました。

[パリ ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200225issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月25日号(2月18日発売)は「上級国民論」特集。ズルする奴らが罪を免れている――。ネットを越え渦巻く人々の怒り。「上級国民」の正体とは? 「特権階級」は本当にいるのか?

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中