最新記事

自動車

新型カローラ、3ナンバー化で2万台突破の意味 新規顧客獲得の影で長年のファンは......

2019年12月20日(金)18時00分
御堀 直嗣(モータージャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

2019年9月に発売されたトヨタ「新型カローラ」(写真:トヨタ自動車)

9月に発売されたトヨタ新型「カローラ」が、2018年に先行発売されていた「カローラ スポーツ」と合わせて、1カ月の間に約2万2000台の受注を得た。

日本自動車販売協会連合会(自販連)の乗用車ブランド通称名別順位で月販1万台超えをすれば首位争いできる状況であるにもかかわらず、その2倍近くの台数に達したのである。これはすごい出来事である。関係者は、ひとまず胸をなで下ろしたことだろう。

初の「3ナンバー」化

なぜ「すごい出来事」なのかというと、1966年に初代モデルが誕生して以来、新型カローラは初めての3ナンバー車だからである。初代カローラは、日産自動車の「サニー」とともに大衆車として生まれ、日本のモータリゼーションの発展と拡大を支えてきた。価格も性能も消費者に身近なクルマとしての価値を持ち続け、その象徴が5ナンバー(小型車)枠に収まる車体寸法でもあった。

国内の乗用車は、軽自動車枠のほかに5ナンバーと3ナンバーに分けられ、5ナンバー車は車体寸法で全長:4.7メートル以下、全幅:1.7メートル以下、そしてエンジン排気量は2.0リットル(ガソリンエンジンの場合)までという制約が設けられている。この枠組みに入れば、自動車税が抑えられてきた。

1990年度から税制が改訂され、5ナンバーと3ナンバーの税額の差が縮まり、日本車の3ナンバー化が進んだ。1989年度まで、エンジン排気量が2.0リットルを超えると自動車税額は8万1500円以上(以後、排気量により増税となる)となり、5ナンバー車の約2倍以上であったのだ。

それは、3ナンバー車がぜいたく品扱いであったため。1979年までは、クラウンでさえ5ナンバー車であった。この税制改定は、当時のバブル経済が後押しにもなったはずだ。

カローラが大衆車であるとの意識はトヨタ内にもずっとあり、海外向けカローラは2006年に3ナンバーサイズになっていたが、国内では2012年に登場した先代モデル(11代目)まで5ナンバーサイズを維持してきた経緯がある。ではなぜ、今回12代目となる新型カローラで3ナンバー化へ踏み切ったのであろうか。

左:初代「カローラ」、右:11代目「カローラ アクシオ」

左:初代「カローラ」、右:11代目「カローラ アクシオ」(写真:トヨタ自動車)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マスク氏、近く政権離脱か トランプ氏が側近に明かす

ビジネス

欧州のインフレ低下、米関税措置で妨げられず=仏中銀

ワールド

米NSC報道官、ウォルツ補佐官を擁護 公務でのGメ

ワールド

トランプ政権、輸入缶ビールに25%関税賦課 アルミ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中