韓国・文在寅の賃上げ政策が招いたこと──映画館からスタッフが消えた
増税がなくても上昇する映画料金
政府の努力もあり、韓国映画界は大きく発展し続けてきた。しかし、一方では映画館御観覧料金の値上げは止まらず映画ファン達からは批判の声が上がっている。2000年前半までは6000~6500ウォン前後だった。それが現在では平均で約10000ウォン前後だ。この10年間で韓国の映画料金は平均価格約35%もアップしたと言われている。全体的に年間映画観客動員数は上昇しているものの、昔に比べ規模の大きな映画が作られるようになり、映画1本に対する製作費が年々上がって行く。また、社会全体の物価や人件費も急速に上がっているため、観覧料金も値上げするしかないのだろう。
値段が上がっていく対処法として、韓国では複雑ともとれる細かな料金設定を設けている。早朝や深夜上映は割引設定に、週末は通常より1000ウォン高い場合が多い。なかでも、最も複雑な価格設定を設けているのは、韓国最大手シネコンチェーンのCGVだ。
上映開始時間によって1000~3000ウォンの差額があるのだが、それに輪をかけて、座席の位置によってさらに1000~2000ウォンの違いが出てくる。座席は、Prime Zone/Standard Zone/Economy Zoneの3種類に分かれていて、チケット購入時に選べる仕組みだ。成人が一般2Dの料金設定で一番安価に映画を観たいなら、「平日の朝6時~10時までのモーニング時間に、エコノミーゾーン席で見た場合」は6000ウォン。逆に高額なチケットでは「金曜から日曜の週末料金で、朝10時から夜中24時までの間に上映される映画をプライムゾーン席で見た場合」は12000ウォンである。
全く同じ映画でも見る座席、日時で2倍の価格差が出る。導入当初はわかりにくさから反発の声も上がったが、今では選択肢が増えたことは良いことだと受け入れられつつある。