韓国・文在寅の賃上げ政策が招いたこと──映画館からスタッフが消えた
韓国の最大の映画チェーンCGVは海外進出し、中国、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、アメリカへ展開。写真はインドネシアのジャカルタ店。Willy Kurniawan - REUTERS
<9年ぶりの革新政権として「所得主導成長」といった経済政策を掲げて改革を打ち出してきた文在寅。だが、その思惑とは裏腹に、改革は様々な分野にネガティブな影を落とし始めている>
日本では10月1日から消費税の増税が行われた。2014年に5%から8%になって以来5年ぶりの引き上げだ。今回、食品についてはテイクアウトなら8%、店内飲食なら10%という軽減税率システムが導入されたが、その線引きについての判断がややこしく、さらにキャッシュレス購入時のキャッシュバック制度など、しばらくは混乱を招きそうだ。
この消費税、もちろん映画館内での飲食にも適用されているのだが、意外にも軽減税率も関係している。映画館のロビーでの飲食の場合は10%となり、劇場内に持ち込む場合はテイクアウト扱いで8%になるという。おちおちロビーでポップコーンを摘まむ事もできなくなってしまった。
消費税のほかにも上乗せされる韓国の映画
韓国の映画館はどうなっているだろうか? 韓国は付加価値税が税金として10%掛けられているが内税になっている。映画館でも同様だ。しかし、入場料金が書かれた観覧チケットをよく見てみると「付加価値税、利用料含む(부기세, 이용료 포함)」の前に日本では見慣れない「映画発展基金3%(영화발전기금 3%)」という文字が書いてある。これは一体何なのだろうか?
映画発展基金は2007年に、韓国の政府機関である映画振興委員会によって設立され、映画制作/流通/映画祭支援/海外進出など、映画の発展のための支援を行っている。制作支援策として一例をあげると『プリースト 悪魔を葬る者』『暗殺』など。また、シナリオ見本市を通じ『観相師-かんそうし-』など名作の制作支援も行っている。
また、韓国はエンターテインメントコンテンツの海外展開に積極的だが、海外映画祭での映画見本市へブース出展や、ハリウッド映画の韓国ロケ誘致活動費用にもこの映画発展基金の資金は運用されている。他にも変わったところだと、映画振興委員会所有の南揚州総合撮影スタジオや韓国映画アカデミー(通称KAFA)の運営、子供やお年寄りに向けての映像教育などにも役立てられている。
観客からチケット代に含まれた映画発展基金資金の使い道は、映画振興委員会のホームページで誰でも確認することができる。このように自分が払ったチケット代のうち3%が、さらに良い映画を生み出す資金になっているのなら喜んで支払いたい。