最新記事

米中貿易戦争

トランプ、米国内での中国株上場廃止を検討 対中投資を制限

2019年9月30日(月)09時21分

米トランプ政権が米証券取引所に上場する中国株の廃止を検討していることが、複数の関係者の話で分かった。写真は5月28日撮影(2019年 ロイター/Jason Lee)

トランプ米政権が米国の証券取引所に上場している中国株の上場廃止を検討していることが、複数の関係者の話でわかった。米国から中国企業への投資を制限するための方策の一環で、中国企業の動きに安全保障上の懸念を強めていることが背景にある。

ただ、具体的にどのように中国株を上場廃止にするのかは不明だ。

報道を受け、ダウ平均株価など米主要株価指数が軒並み下落。中国株では電子商取引大手のアリババ・グループ・ホールディングや京東商城(JDドットコム)、検索サイトの百度(バイドゥ)などの銘柄が4―7%値下がりした。

今年6月、米超党派議員グループは、上場している中国企業に対し、米当局による監督受け入れを義務付ける法案を議会に提出した。現在、中国は自国企業が米国監査機関に対し資料開示することを認めていないが、同法案が成立すれば、財務情報の開示が必要となり、要件を満たさない企業は上場廃止処分となる。

ある関係筋は「これはトランプ政権にとって非常に優先度の高い問題と言える。(公開会社の監査を監視する)公開会社会計監視委員会(PCAOB)の手続きに従わない中国企業は米国の投資家にリスクをもらたす」と述べた。

また複数の関係者によると、株価指数に採用されている中国企業への制限方法についても検討されている。ブルームバーグによると、いかなる提案もトランプ氏が最終的な是非を判断する。

2人の関係者によると、いずれの措置についても、米当局が直ちに決定、あるいは実施する可能性はないという。

米政府の資料によると、今年2月時点でニューヨーク証券取引所(NYSE)およびナスダック市場に上場する中国企業の数は156社に上り、うち少なくとも11社が国有企業だ。

NYSEはコメントを控えている。ナスダック、MSCI、S&P、FTSEラッセルからのコメントは得られていない。

オフショア人民元は対ドル で値下がりした。

著名ヘッジファンド・マネジャーのカイル・バス氏はツイッターで「米国で販売される証券はすべて米証券法に従う必要がある」と述べた。

*情報を追加します。

[ワシントン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル一時158円台、5カ月ぶり高値

ワールド

レバノン、シリア暫定政府と善隣関係を期待

ワールド

プーチン氏、スロバキア主催のウクライナ和平交渉の可

ワールド

シリア暫定政権、扇動に警告し取り締まり開始 緊張高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 2
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3個分の軍艦島での「荒くれた心身を癒す」スナックに遊郭も
  • 3
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部の燃料施設で「大爆発」 ウクライナが「大規模ドローン攻撃」展開
  • 4
    「とても残念」な日本...クリスマスツリーに「星」を…
  • 5
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 6
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 7
    日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落
  • 8
    滑走路でロシアの戦闘機「Su-30」が大炎上...走り去…
  • 9
    なぜ「大腸がん」が若年層で増加しているのか...「健…
  • 10
    世界がまだ知らない注目の中国軍人・張又俠...粛清を…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 5
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 6
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 7
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 8
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 7
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 8
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 9
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 10
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中