最新記事

金融政策

欧州中央銀行、マイナス金利0.5%に深掘り 量的緩和や金利階層化も

2019年9月13日(金)08時23分

ECBは昨年12月、金融危機以降続けてきた2兆6000億ユーロに及ぶ資産購入プログラムを終了したばかり。ただ、同プログラムの刺激効果は限定的なものにとどまった。

ベレンベルクのアナリスト、ホルガー・シュミーディング氏は「ECBがもっと積極的に金融緩和を行ったところで何かが大きく変わるとは思えない」と指摘。「米中貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)といった外部ショックが域内経済の回復を阻害し、不確実性がこれほど根強い中では、いくら家計や企業の借り入れコストが低下しても個人消費や企業投資が大幅に持ち直すとは考えにくい」と述べた。

また、債券買い入れ策を「利上げを開始するまで必要なだけ継続する」とする方針は、近く就任するクリスティーヌ・ラガルド次期ECB総裁の任期の大半を通じ、債券買い入れが継続する可能性を示唆している。

INGのエコノミスト、カースティン・ブルゼスキ氏はこの日のECBの決定について、「ドラギ氏の遺産を将来のECBの政策決定に祭ったことになる」と指摘した。

ドラギ総裁は来月に8年の任期満了を迎える。

ECBが予想を上回る大型刺激策に動いたことで、政策決定を来週に控える米連邦準備理事会(FRB)や日銀への緩和圧力が高まる可能性がある。

トランプ米大統領はECBの動きに反発。ツイッターへの投稿で「ECBは非常に強いドルに対するユーロの価値を引き下げることに尽力そして成功し、米国の輸出に打撃を与える。FRBは手をこまねいているだけだ。FRBが金を貸りて報酬を得る一方、われわれは金利を払っている!」と述べた。

*内容を追加しました。

[ブランクフルト 12日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中