日韓対立で旅行業界に激震 円高も追い打ち、インバウンド需要後退か
今年上期、韓国の観光客は5年ぶり減
大韓航空は、日本との外交関係悪化に伴い需要が減少しているため、釜山─札幌線の運航を9月3日から停止すると発表した。大韓航空系列の格安航空会社(LCC)、ジンエアーも「反日ムードが続き、予約率に影響が出るようであれば、日本路線を調整する可能性も排除できない」(広報担当)としている。
日本政府観光局(JNTO)がまとめたデータによると、2018年の訪日外客数は前年比8.7%増の3119万人。国・地域別では、中国が838万人(全体の約26.8%)で最も多く、韓国が753万人(同24.1%)で続いた。しかし、19年上期(1─6月)の訪日韓国人旅行者数は同3.8%減。2014年以来5年ぶりに上期の減少となった。
足元で進行する円高や世界的な景気減速懸念なども、インバウンド需要で潤ってきたホテル業界にとっては逆風だが、この先、国内的な懸念もある。「10連休」の反動だ。
観光庁が旅行各社からヒアリングしてまとめた国内旅行の総取扱高は4月が前年同月比9.1%増、5月が同2.8%増と、春の10連休の需要を取り込んで全体的に伸びた。6、7月分までは公表されていないものの、梅雨明けの遅れや天候不順などの影響も加わり、全般的に伸び悩むとの懸念が出ている。
国内証券の関係者は「需要の先食いがあったのは間違いなく、夏休みの需要の取り込みには相当頑張らないと厳しいと、ある旅行代理店の首脳から聞いた。国内が冷え込む中、韓国からの訪日観光客が減少すればホテル業界にとって『ダブルパンチ』になりかねない」と指摘する。
9月下旬にラグビーワールドカップが開幕すれば世界中から観客が来日してホテルの稼働率も上昇しそうだが、一過性の要因でもある。日韓関係の対立によって、インバウンド集客の2トップを担う韓国からの来客の低迷が続けば、ホテルをはじめとしたインバウンド関連株の上値を継続的に圧迫する可能性がある。
(杉山健太郎 編集:伊賀大記)
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