キャッシュレス化は消費促進に有効? 消費税引き上げ対策にも
中国人買い物客
日本を訪れる観光客の増加、とりわけ中国人観光客による消費は、日本経済における数少ない明るい材料の1つだ。彼らは、日本国内30万以上の店舗で導入済みの中国アント・フィナンシャルの電子決済サービス「支付宝(アリペイ)」を利用する。
大手百貨店の免税カウンターでは、アリペイのアカウントに直接、税を払い戻すところもある。アリペイはターゲット広告を使い、利用者の近くにあるおすすめの品や、周辺に置かれている関連商品も表示する。利用者が中国に戻ると、オンラインで購入できる同じような日本製商品が表示される。
韓国の決済サービス「カカオペイ」のリュ・ヨンジュン社長は5月、ロイターとのインタビューで、日本のキャッシュレス化が進むことを見越し、参入を検討していることを明らかにした。
「日本に行くとクレジットカードを利用できない店が多い。日本でカカオペイを使えたら便利だろうと考えた」と、リュ社長は話した。
10月にサービスを開始した日本のデジタル決済サービス「Paypay(ペイペイ)」はアリペイと提携しており、国内での導入拡大に弾みとなりそうだ。
東京でカレー店を営む小宮聡さん(39)は、1年間手数料無料という条件で3カ月前にペイペイを導入した。売り上げは「少し」伸びたという。
「これからだと思う。今のところ問題はない」と、小宮さんは話した。
消極的な小売店
だが、Origami(オリガミ)やLINE、メルカリなどの決済サービス提供者は、3%程度の利用料を店側から徴収するのが普通だ。
ニッセイ基礎研究所金融研究部の福本勇樹主任研究員によると、日本の小規模小売店の平均的な利益率は2%程度であり、手数料は決済サービス導入の大きな障害となっている。
日本の至る所に設置された自動販売機や食券販売機は現金しか受け付けつけないものも多く、電子決済に対応させるのは簡単ではない。
「QRコード決済を付ければお客さんがもっとお金を使ってくれると言われているが、私の店ではそういうことは起きないと思う」
都内でテニスショップを営む横山知子さん(50)はこう話し、「毎回手数料を払うのなら、商品を割引しているのと同じだ。私のような店ではそれが地獄だ」と付け加えた。
Stanley White
(翻訳:山口香子、 編集:久保信博)
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