いまだ飛べない737MAX、航空各社の「稼ぎ時」を直撃
長期にわたる運航停止は、北半球の航空会社にとってこれ以上ない最悪のタイミングで発生した。米運輸統計局(BTS)によると、航空各社が1席・1マイルあたり最高の収益を稼ぐのは6─8月で、その間各社は保有機をフル回転させる。
アメリカン航空の経営陣は従業員と顧客に宛てた14日付の手紙で、737MAX型機は「早期に」再認証されると考えているとする一方で、「年間で一番の繁忙期」に信頼と信用を顧客に与えたいとした。
アメリカン航空は6月初旬まで1日当たり約90便のキャンセルを見込むが、夏季の最繁忙期には運航便を増やす予定で、機材繰りの余裕は低下する。
「われわれにとって困難な状況になることは否定しない」と、アメリカン航空の広報担当者、ロス・ファインスタイン氏は認める。「だからこそ、機材不足が原因でキャンセルをさらに延長せざるを得ない場合は、なるべく早期に決めることにしている」
供給座席数の減少により、特にビジネスクラスで、夏季の運航日直前の最終運賃が高めになる可能性があると、航空コンサルタントやアナリストは予測する。
737MAX型機14機を保有するユナイテッド航空は、同型機をより大きな777型機や787型機に差し替えることで、大規模なキャンセルを回避してきた。だが同社のスコット・カービー社長は先週、このやり方はコストが大きく、永遠に続けられるわけではないと警告した。
全体的にみれば、737MAX型機はサウスウエストが保有する機体の5%でしかなく、アメリカンやユナイテッドではこの割合はさらに低下する。だが、機材繰りへの負担は、追加の737MAX型機の納品が凍結されたことで増大することになる。
サウスウエストは今年、同型機41機の納品を控えている。アメリカンは16機、ユナイテッドは14機の納品を受ける予定だ。
こうした事態に対応するため、世界各国の737MAX型機の運航会社は、他の保有機の1日当たりの運航回数を1─2回増やしたり、必須ではないメンテナンス作業を延期するなどしている。
また、機体のリースを延長したり、使っていない機体を再利用することを検討している航空会社もあるが、737MAXの運航再開がいつになるか分からない現状では、明確な、または安価な選択肢はないと、コンサルタントは話す。
ユナイテッドは、第1・四半期の決算を16日に公表する。サウスウエストは25日、アメリカンは26日に予定している。
(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)
[シカゴ 14日 ロイター]