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巨額負債から回復するも高くついたゴーン流経営 日産に残された身勝手と不正のツケ

2019年3月21日(木)17時21分

不透明な資金の流れ

ゴーン前会長への社内の見方が当初の信頼から深い不信感へと変質する中、同氏が独断でとりまとめたとされる様々な取引や資金の流れについての社内調査も進んでいる。同氏の逮捕へとつながった2017年からの調査を手掛けたのは、同社の唯一の社内監査役である今津英敏氏だ。

今津氏は、オランダの子会社「Zi-A(ジーア)キャピタル」の設立目的について日産の監査を担当するEY新日本監査法人が提起した質問に注目していた、と関係者の一人は話す。ゴーン前会長が使っていた高級住宅の費用がジーアやその子会社を通じて支払われたという見方があったためだ。

同子会社について今津氏が懸念を深めたもうひとつのきっかけは、ロイターが2017年6月に配信した記事だった、と複数の関係者は言う。その記事の中でロイターは、ルノー・日産連合に助言する投資銀行が、オランダに新設する子会社を通じてゴーン氏ら幹部に非公表の賞与を支払う案をまとめた、と報道した。

今津氏とCEOオフィスのハリ・ナダ専務執行役員はこの件についての調査結果を検察当局に提出。その内容は昨年10月ごろ、西川CEOに知らされた。

ロイターではこの情報について今津氏、ナダ氏、西川氏のコメントを求めたが、日産からの回答は得られなかった。

東京地検特捜部は昨年12月10日、日産の有価証券報告書に2015年3月期までの5年間の役員報酬を約50億円少なく記載したとして、ゴーン氏と日産前代表取締役のグレゴリー・ケリー氏、法人としての日産を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴した。

さらに今年1月11日、同特捜部はゴーン氏を会社法違反(特別背任)の罪で追起訴。また、2015ー17年度の役員報酬についても過少記載したとして、ゴーン氏とケリー氏、法人としての日産を追起訴している。

特別背任について、起訴状では、ゴーン前会長が08年10月、私的な通貨取引のスワップ契約を日産に移転する契約を結び、約18億5000万円の評価損を含むスワップ契約上の損失に関し、無担保で負担すべき債務を日産に負わせたと指摘。また、09年から12年にかけて約4回にわたり、サウジアラビアの知人に日産子会社から合わせて1470万ドル(約12億8400万円)を支出させ、日産に損害を与えたとしている。

ゴーン前会長は無罪を主張しており、退職後の報酬案については専門家のアドバイスに基づいていると説明。また、ゴーン氏とサウジの実業家ハリド・ジュファリ氏の双方とも、1470万ドルの支払いはサービスに対する適切な対価だとしている。前会長の広報担当は「ゴーン氏は起訴された容疑について無罪であり、無罪が証明されるだろう」と述べた。

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