巨額負債から回復するも高くついたゴーン流経営 日産に残された身勝手と不正のツケ
変わる日産の経営手法
昨年11月19日のゴーン前会長逮捕の1週間後、日産の西川廣人最高経営責任者(CEO) は社員向け説明会で、1人の人物に過剰な権限が集中していたのは明白で、経営陣は十分に対応しなかった、と述べた。
「19年間、私を含む経営陣、この勝手を許し、不正を許してしまったということに対するこの後悔、皆さん同じだと思いますけれども、もう少し言うと、自分の力不足、無力感というものを実は感じております」。
西川CEOはこう語り、「私たちの最大かつ喫緊の課題は、ゴーン氏の長年のリーダーシップとコーポレートガバナンス(企業統治)によってもたらされた負の遺産を拭い去ることです」と続けた。
日産とその筆頭株主であるルノーは先週、ゴーン前会長に権限が集中していた旧体制と決別し、今後は新組織「アライアンス・オペレーティング・ボード」を通じ、ルノー、三菱自動車<7211.T>との3社トップによる合議制で戦略を策定すると発表した。ルノーのスナール会長は新組織の議長に就くが、日産の会長には就任しないと明言した。
日産の企業統治のあり方を議論している「ガバナンス改善特別委員会」(外部有識者で構成)は今月中に、役員人事や報酬に関する手続きを含め、企業統治の見直しに向けた提言を行う見通しだ。
こうした反省は、日産の経営手法の大きな変更にもつながっている。ゴーン流経営では、「コミットメント」と呼ばれる販売と収益性に関する野心的な目標を設定し、それを達成できない場合は経営陣が責任を問われる、という信賞必罰の考えが根底にあった。
西川CEOは社員に対し「(経営目標は)これができなかったら大変だぞということで、スレット(脅し)の形になっているように感じます。 従って、やはりそういう部分はより健全な形に変えていく必要があります」と語った。