メルカリのIT技術者大量採用に見るインドトップ大学の就活ルール
10月1日に行われたメルカリの新入社員向け説明会。一度にこれだけの外国籍社員を迎えるのは初めてだ(記者撮影)
「今日はメルカリにとってエポックメイキングな1日だ」。10月1日に行われた、メルカリの新入社員向け説明会。同社の山田進太郎CEOは、晴れやかな表情でそう語った。山田氏の視線の先にいるのは、同日付けでメルカリに入社した100人超の新入社員だ。そして、このうち半数近い44人が外国籍である。
一度にこれだけの数の外国籍社員を迎えるのは、メルカリにとって初の試み。山田氏が「エポックメイキング」と語ったのはそのためだ。メルカリは創業当初から"グローバルテックカンパニー"として存在感を高めることを目指し、アメリカとイギリスでも創業初期にフリマアプリの展開を開始。現地拠点での採用も積極的に行ってきた。
一方で日本国内は、最近まで日本人社員が大半を占めていた。「このままではグローバルカンパニーとはいえない。ということで、日本語が話せなくてもどんどん入社してもらえるよう、外国籍の社員のサポート体制を作ってきた。ようやく今、これだけの規模で受け入れられるようになった」(山田氏)。
インド理系最高学府「IIT」の卒業生も
今年6月に東証マザーズに上場したばかりのメルカリ。「短期的な収益を意識するフェーズではない」と山田氏が強調するとおり、主に国内事業で稼ぐ利益を積極的に再投資している。その重点分野として「テクノロジー」「海外」とともに挙げるのが「人」だ。メルカリグループ全体の従業員数は今年6月末で1140人と、前年(596人)からほぼ倍増している。
国内での採用活動と並行し、メルカリは外国籍社員の採用に力を注ぐ。メルカリの東京本社で働く社員の国籍数は、直近で28まで広がった。今回入社した44人の内訳を見ると、最も多いインドが32人、台湾3人、アメリカ2人、中国2人と、イギリス、ベルギー、フランス、カナダ、シンガポールが1人ずつだ。
インドの理系トップ大学として知られるインド工科大学(IIT)カラグプル校でコンピューターサイエンスを学んだサヒル・リシさんも、新卒新入社員として今回メルカリにやってきた一人だ。
昨年10月、メルカリがインドで開催した学生向けのハッカソン(ソフトウエア開発コンテスト)で優勝したのをきっかけに、東京本社でのインターンシップにも参加した。「(国籍や宗教などが)多様な社員に対してインクルーシブ(包摂的)であろうとする企業文化に共感し、入社したいと思った。インターンでついてもらったメンターからは、多くのことを学んだ」(サヒルさん)。