最新記事

ワークプレイス

クオリティ・オブ・ライフの尊重がゲームの未来を切り開く

2016年1月15日(金)11時12分
WORKSIGHT

wsNHN_8.jpg

執務エリア。座席位置は部署単位で自由に決められる。各デスクに最大三つのモニターを設置可能。

wsNHN_9.jpg

「PORT629」のエントランスは、港にある倉庫街のイメージ。同社が手がけるゲーム同様、ディテールが考え抜かれている。

 イ会長のアイデアが具現化したものに、屋内駐輪場がある。社員が通勤で利用する約100台の自転車が並ぶ。天井から自転車を吊すことで、さらに収容することも可能だ。

 駐輪場奧のスペースには常駐スタッフが控えている。簡単な自転車の点検や修理を無償で依頼できるほか、「新しい自転車を買うならどれがいい?」といった個別の質問にも答えてくれる。イ会長自身、趣味の一つが休日のサイクリングということもあり、高価な自転車を自費で20台購入し、社員にプレゼントしたことも。その甲斐あって、自転車通勤の社員は増えつつある。

 以前のオフィスでは駐輪場は屋外にあり、盗難の恐れがあった。また雨で自転車が傷むことにも悩まされていた。新オフィスで駐輪場を屋内に設置したのは、社員からのアイデアとのこと。

社員の健康維持に寄与する投資は惜しまない

 そのほか、シックハウス予防のために社員一人ひとりに化学物質を吸着させる炭やおがくずを配ったり、歯磨き専用スペース「チカチカルーム(チカチカは韓国語で歯磨きを意味する)」を各階に設置するなど、社員たちの健康維持に投資を惜しまない。これらの設備もすべて、社員の要望によって実現したものだ。

「私たちの仕事は、ゲーム開発が中心です。そのため、決められた勤務時間内に決められた仕事をするというワークスタイルとはいえません。時には、昼夜が逆転してしまうことも避けられない。しかし、そこで健康を害するようだと、創意工夫がおぼつかなくなります。ですから会社としても、社員が心身ともに健康になれる施設をたくさん用意したいのです。逆に、何か意思決定をするとき、これは社員の健康にとって害になると考えられるものがあると、真っ先に排除されるんです」

wsNHN_10.jpg

社内のコンビニエンスストア。ここも「PORT629」のテイストに合わせて、海、港にちなんだものに統一されている。

wsNHN_11.jpg

(左上)授乳室。「母子の部屋」と名付けられている。託児施設は「プレイ・ミュージアム」近隣に別に設けている。(左下)頻繁に海外出張する社員をサポートするため、社内に旅行会社を備える。また入社すると本人とその家族は自動的に保険に加入する仕組み。(右)食事後の歯磨き専用スペース「チカチカルーム」。通常、歯磨きにはトイレの洗面台が利用されるものだが、「誰かが用を足している横で歯を磨くのは嫌だ」という意見から作られた。男女それぞれ用意されている。

wsNHN_12.jpg

「PORT629」内部。卓球台にかわるテーブルも。ビームプロジェクタが用意され、食事しながら会議をすることも可能。

wsNHN_13.jpg

2階の「サポートデスク」。社員宛の郵便物の受け取りや消耗品の交換、PC関連のトラブルシューティングなど業務サポートを一手に引き受ける。

wsNHN_14.jpg

屋内駐輪場。180平方メートル、約100台が駐輪可能。専門スタッフが常駐しており、自転車の修理や点検を無償で受けられる。

創業:2013年
売上高:約657億6000万円(2013)
純利益:約183億3000万円(2013)
従業員数:2333人(2014.8)
http://www.nhnent.com

コンサルティング(ワークスタイル):自社
インテリア設計:自社、Eomji House CO.LTD
建築設計:Heerim Architects & Planners

WORKSIGHT 06(2014.10)より

※当記事はWORKSIGHTの提供記事です
wslogo200.jpg


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中