最新記事

ワークプレイス

クオリティ・オブ・ライフの尊重がゲームの未来を切り開く

2016年1月15日(金)11時12分
WORKSIGHT

wsNHN_5.jpg

キッチンや冷蔵庫、コーヒーマシンなどを備えたハイブも。

wsNHN_6.jpg

同じハイブでもソファの形状や空間デザインはさまざま。畳敷きになっている部屋も。

「外から見ると、当社は『自由』なイメージがあるかもしれません。でも私たちとしては、特別自由であるとは思っていないのです。社員の自律性を大切にしつつも、一般企業にあるような、出勤退勤、休暇など、守るべきルールは存在していますから。当社の社風を表現するとしたら、『虚礼虚飾のない』『素直』といったキーワードになるでしょうか。コミュニケーションにおいても、率直で、飾りのないものを大切にしています。それがクリエイティビティを生み、新しいゲームの種をもたらしてくれるものだと思うからです」(ヤン・ソンユル氏)

ゲーム作りの根底には豊かなライフスタイルがある

 NHNの社員は、20代から30代がほとんどだ。開発、企画、デザインなど専門的な職種が目立つが、大半は学生時代の専攻と無関係だという。共通するのは「ゲームが好き」の一点のみ。彼らのような若く多様な社員たちのライフスタイルを尊重する空間作りも、「プレイ・ミュージアム」のコンセプトだ。特に、福利厚生施設には力を入れている。

 たとえば2階のユーティリティゾーンには、心と体を癒す檜の原木を使用。授乳室があり、託児施設も近隣に完備されている。業界平均より多い40%もの女性社員比率は、その成果だと言えるだろう。

 もっとも、よくある福利厚生施設とは一線を画す。「その多くが、ダイナミックかつクリエイティブ」と評するのは、広報チームのキム・ジョンミン氏だ。

「開発業務をサポートするにはクリエイティブなアイデアが得られる空間であり、かつ居心地が良く、楽しい空間であることが重要です。私自身、毎朝このオフィスに来るのを楽しみにしています」

カフェテリアからゲームスペース、屋内駐輪場まで

 プレイ・ミュージアムの地下1階に降りると港をモチーフとしたカフェテリア「PORT629」が現れる。館内スタッフの制服までコンセプトは一貫しており、航海士をイメージしている。629という数字は、建物があるサムピョンドン629番地にちなんだものだ。オフィス移転に際して、「ここ629番地から新たな航海を始めよう」とのメッセージを打ち出したのだ。

 食事はすべて無料で、常時二つの日替わりメニューが提供されている。食事時間以外は100人を収容する講演会場として使うこともできる。バスケットボールやバドミントンなど各種スポーツやアーケードゲームを楽しむスペースを併設している。社員同士の親睦と意思疎通を考慮した空間としても設計された。

 熱心なスポーツファンである同社イ・ジュンホ会長の意向を反映し、社員たちの健康面への配慮も念入りだ。

wsNHN_7.jpg

(左上)サウンドフォトスタジオ。映像作業と音響作業をスピーディに行う。(右上)小川が流れる屋上。休憩時間に散策を楽しむ社員の姿が見られる。足つぼを刺激してくれる石畳があり、その上を裸足で歩く人も多い。(下)社員全員が使えるフィットネスルーム。希望者は個人トレーニングも受けられる。無料ではないが、会費の一部を会社が負担している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ビットコイン一時9万ドル割れ、リスク志向後退 機関

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=

ビジネス

欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中