最新記事

ファッション

中国経済の減速で苦境の高級ブランド、課題と今後の展望は?

2015年12月9日(水)17時55分

 エクサーヌBNPパリバのアナリストLuca Solca氏によると、カルティエは特に中国市場への依存度が高い。またこの数年は技術革新を強力に推し進めていなかったという。

 カルティエの新型腕時計は、最高級モデルに焦点を当てた既存の技術を土台としている。1月には8年ぶりに新型モデル「クレ」を発表したが、これまでのところ手に入るのは価格が1万ユーロを超えるゴールドモデルに限られる。

 リシュモンに近い筋によると、「クレ」は発売以来の購入者のおよそ9割が女性だという。

 リシュモンは自社製ムーブメントの導入でも出遅れた。スウォッチが外部へのムーブメント供給を打ち切った後、各社はムーブメントの自社生産を迫られ、自社製ムーブメントは高級腕時計の分野ではブランド力の重要な一部を成している。

 オリエンタル・ウォッチのラム氏によると、カルティエは中国本土市場で大衆向けの市場を目標に据え、香港の消費者が求める最良の技術設計への関心が薄かった。

 さらにマーケティングの面でもカルティエは目新しい取り組みに乏しい。オメガは五輪の協賛で社名を売り込み、映画「007」の新作とタイアップをはかった。またロレックスはスポーツタイプという新たな分野を開拓している。しかしカルティエはパンサーなど従来のデザインにこだわっている。

 LVMHジャパンの社長からカルティエのCEOに就任するビニュロン氏は、カルティエを再び成長軌道に戻すのに適任だ。ロンドンのカルティエの従業員は「ビニュロン氏は型にとらわれない人物として知られている。多くの人が期待を寄せている」と話した。

 (Silke Koltrowitz and Donny Kwok記者)

[チューリヒ/香港 8日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECBの金融政策、「漸進主義」が奏功=レーン理事

ビジネス

ECB、段階的な利下げを 慎重姿勢維持必要=独連銀

ワールド

NY南部連邦地検トップが辞任へ、FTX関連など著名

ワールド

G7、共通の見解模索 ネタニヤフ氏逮捕状発行で=伊
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 3
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 4
    テイラー・スウィフトの脚は、なぜあんなに光ってい…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 7
    日本株は次の「起爆剤」8兆円の行方に関心...エヌビ…
  • 8
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 9
    またトランプへの過小評価...アメリカ世論調査の解け…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中