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シリーズ「仕事を科学する」

会議を減らすだけでは生産性が上がらない理由

「会議ばかりで仕事が進まない!」を解決するには、自分のデスクワークのやり方も改善しなければならない

2015年10月30日(金)16時05分

「会議革命」では変わらない 会議の多さ・長さにうんざりしていても、他人のせいばかりにしていては何も変わらない Courtney Keating-iStockphoto.com

 産業の空洞化が日本経済の問題としてよく指摘されるが、それ以上に、ビジネスパーソン1人ひとりの「スキルの空洞化」のほうが実は深刻だと、コンサルタントで日本タイムマネジメント普及協会理事長の行本明説氏は言う。

「会議が多すぎる」「会議が長すぎる」......そんな不満を抱いているビジネスパーソンは多いだろう。つい会社のせい、他人のせいにしてしまいがちだが、この会議の問題に関しても、スキルの向上なしには解決しない。行本氏によれば、会議(=他人と共同でやる仕事)を減らす努力だけでなく、「自分ひとりでやる仕事」を上手にこなす工夫が不可欠だ。

 ジョブローテーションから組織のフラット化、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)、ノー残業デーまで、日本にはびこる「間違いだらけのマネジメント」が、現場のスキルを空洞化させていると訴える行本氏。

 行本氏は新刊『ワーク・コントロール 仕事に振りまわされないための[スマートマネジメント]』(CCCメディアハウス)で、データと理論に基づいてその間違いを正し、ホワイトカラーの生産性を劇的に上げる新しいマネジメントモデルを提唱している。ここでは本書から一部を抜粋し、4回に分けて掲載する。

<*下の画像をクリックするとAmazonのサイトに繋がります>


『ワーク・コントロール
 ――仕事に振りまわされないための[スマートマネジメント]』
 行本明説 著
 CCCメディアハウス

※抜粋第1回:「働きやすい制度」が生産性を下げてしまう理由 はこちら
※抜粋第2回:フレックスタイム制をうまく機能させる方法 はこちら

◇ ◇ ◇

「会議革命」だけでは生産性は向上しない

「会議ばっかで、仕事にならない!」

 こう訴えるビジネスパーソンはたくさんいます。

 本来、関係者が一堂に会する会議は、話し合いの場としてもってこいですが、実際には「会議が多すぎる」「会議が長すぎる」や、「会議でなにも決まらない」「はじめに結論ありきで、無意味な会議だ」といった不満が噴出します。

 いま、組織にとって「会議対策」はとても重要なテーマであり、「会議革命」と称して新たな取り組みをはじめています(会議革命というタイトルの解説書もあります)。

 ところが不思議なことに、その成果があまり見えてきません。なぜでしょうか?

 それは、会議対策が「いかに会議を上手に進めるか?」に終始しているからです。

 じつは、多すぎる会議、長すぎる会議によってダメージを受けるのは会議そのものではなく、事務処理などのデスクワークです。もし、会議が多かったり、長かったりしたら、デスクワークに使える時間が少なくなるからです。

 逆に会議を上手に進められるようになれば、デスクワークの時間を増やすことができます。しかしそのとき、会議の進め方ばかりに目が向き、デスクワークの進め方に注意を払わないと、せっかく空いた時間も有効活用できません。それでは、生産性向上につながりません。

 前述したように、会議は「他人と共同でやる仕事」です。また、デスクワークは「自分ひとりでやる仕事」です。したがって、次のように言い換えることもできます。

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