アベノミクスへの評価が失速、「後退・消失」7割超
金融政策への期待を聞いたところ、追加緩和を「すべき」との回答は53%。今年2月の調査では、「必要だと感じる」との回答は28%に過ぎなかったが、足元では半数を超えた。
その効果としては株高への期待が48%を占め、最も大きかった。追加緩和を行うことで株安による逆資産効果を避けるなど、国内消費の下支えを期待する声が目立つ。
他方で追加緩和は「すべきでない」も47%にのぼり、「すべき」とほぼ拮抗。「効果がない」との理由が60%と最も多く、「貿易構造の変化で円安が収支改善に効果がないことが実証された。グローバル化が進む中で、本当に正しい政策なのか」(機械)など、輸出産業からも円安の効果に疑問を示す声が聞かれる。
円安の悪影響を受けている企業もあるため「ツケの先延ばしのようなことは、百害あって一利なし」(紙・パルプ)との厳しい指摘も複数あがっている。
政府が経済の好循環実現に向け、政労使会議を設けて企業経営者に賃上げ要請を行ってきたことに対しては「政治の介入は好ましくない」と回答した企業が、全体の64%を占めた。「ある程度の介入は仕方がない」とみている企業は36%。
また、政府は今年、潤沢な企業の内部留保を設備投資に向けるよう要請するため、「官民対話」の場を設定したが、こちらは「好ましくない」との回答が52%。過半数を超えたものの、「ある程度の介入は仕方ない」の48%とそれほど大きな違いはなく、賃上げ要請に比べると抵抗感は少ない。
(中川泉 梶本哲史 編集:石田仁志)