EU離脱後のギリシャ
プーチンのほうにも、ギリシャと仲良くしたい理由がある。自国の経済不振にも関わらず、ギリシャに救いの手を差し伸べる可能性は十分にある。
これはアメリカが最も懸念するシナリオだ。ギリシャは戦略的な要衝に位置している。今はギリシャは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国だが、ベラルーシのようにロシアの勢力下に取り込まれることになれば、NATOの力は大きく削がれかねない。
コソボ
ギリシャは、政情が不安定で貧困にあえぐ第二のコソボになるかもしれない。EU離脱後のギリシャはユーロ以前の自国通貨ドラクマに復帰するが、インフレと資本逃避のせいでドラクマは紙くず同然になる。EUの課す規律がなくなれば、根深い縁故主義と汚職が悪化することも十分ありうる。
ギリシャは、同じバルカン半島に属するコソボを教訓とすべきだ。1999年にセルビアから独立したコソボは、失業率が35%に達している。明るい未来を求めてEU諸国に旅立つ移民が後を絶たない。
アイスランド
アイスランドは世界金融危機で打ちのめされた。残された負債があまりに大きいので、本来強烈に自立心の強いこの国が、ユーロに参加することまで考えた。
だが実際は、自国通貨アイスランド・クローナを大幅に切り下げた。さらに外国人が保有する資産の国外持ち出しに課税するなどの強力な資本規制を導入する一方で、経営の傾いた国内の大手銀行を潰した。
おかげで経済は徐々に回復。2013年には3.6%の成長を遂げた(翌年はやや減速)。ギリシャ政府のなかには、ユーロ圏の外で経済と通貨の独立を回復し、自国通貨を切り下げることでアイスランドと似たような復活を遂げようと考えている者もいるに違いない。
エジプト
民主制は古代ギリシャで生まれたかもしれないが、今はその強さが問われている。先週末の国会議事堂には野党勢力が集まり、政権党のSYRIZAが憲法を無視して独裁者のように振る舞っていると非難した。