最新記事

中国

中国、融資伸び悩みで「放置インフラ」が急増

資金調達難から工事が1年ストップしている例も

2015年5月22日(金)14時59分

5月22日、中国でインフラ整備の遅延が深刻化しているのは、地方財政改革も要因になっている。写真は5月に撮影された山東省のビル建設現場(2015年 ロイター)

[上海 22日 ロイター] - 鉄筋コンクリートの骨組みの傍に静止したクレーンとごみの山──。上海市閔行区で約4万人分の低所得者向け住宅が建設される予定だった土地は、今では中国の経済減速を象徴する場所となっている。

住み込みの管理人だという男性は「資金不足で作業は1年近くストップしている」と話す。

昨年初め以降、中国は景気の減速を食い止めるために約2兆元(3200億ドル)相当のインフラプロジェクトを認可しているものの、工事のストップや遅れが日常的になっている。経済成長率が25年ぶりの低水準に落ち込む見通しで、資金調達難も広がるなか、こうしたプロジェクトは今後も増えそうだ。

中国当局は先週、銀行に対し、地下鉄や低所得層向け住宅を中心とする地方政府の進行中プロジェクトへの融資は減らさないよう命じた。

1─4月の固定資産投資は、2000年12月以来の低い伸びを記録。統計でも状況の悪化が示されている。

Jキャピタル・リサーチのアナリスト、スザンナ・クローバー氏は「プロジェクトが策定されてから実際に資金が手当てされるまで6─12カ月かかることもあり、遅れが目立ってきている」と指摘。「2009年、10年、11年のインフラブームの頃は進み具合が本当に速かった」と振り返る。

支払いまでの期間も伸びている。トムソン・ロイターが中国の建設・建材企業87社を対象に実施した調査によると、顧客から支払いを受け取るまでにかかった日数の中央値は昨年末時点で177.23日となり、2010年の2倍となった。

<連鎖的影響>

プロジェクト受難の要因は、当初設計のミスなどとさまざまだ。

昨年11月に国営メディアが報じたところによれば、鉱山で知られる山西省大同市では、2013年に市長が別の市に異動になったことを受けて125件の建設プロジェクトがストップしたという。

上海市閔行区のプロジェクトの停止は、地元メディアによると、土地を購入した企業が浙江省における不動産契約で損失を出したことが要因だという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中