社会的弱者を犠牲にしてギリシャは救えない
2015年2月26日(木)17時06分
口先では社会の持続性が重要だと言いながら、厳しい緊縮策を強いれば、ヨーロッパの政治的安定は危うくなる。「倹約のパラドックス」(不況で人々が節約すれば、経済はますます悪化する)を回避するためにも、財政再建の痛みを和らげる景気浮揚策を取り入れるべきだ。
各国政府はミクロ経済の課題だけでなく、社会保障政策の策定と実施に注力し、社会的弱者に生活手段と医療、教育と住宅を提供する必要がある。
欧州委員会とIMFは債務危機への処方箋が期待した効果をもたらさなかったとして、過ちを認めた。ならば、ギリシャの新政権と交渉して、債務の減免や財政規律の基準緩和を盛り込んだ新しい支援計画をまとめるべきだ。なのに債権国はなぜかその手続きを渋っている。
ギリシャ危機以降の5年間ではっきりしたのは、財政の安定化を達成することがいかに困難か、ということだ。それでも今後ヨーロッパが繁栄を取り戻したいなら、政治と社会の安定が不可欠だ。
© Project Syndicate
[2015年3月 3日号掲載]
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