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自動車水素燃料電池車の時代は本当に来るか
トヨタが決断した特許の無償提供で開発競争に拍車が掛かりそうだが
起爆剤 トヨタの大盤振る舞いは新たな革命をもたらすか(14年11月の同社の燃料電池車「ミライ」発表会) Yuya Shino-Reuters
水素で走る燃料電池車(FCV)の普及を促進するため、自社が持つ特許をすべて無償提供する──トヨタの先週の発表をきっかけに、FCVの新開発に拍車が掛かるかもしれない。
トヨタが競争相手を利するような行動に出たのは、技術を独占するより公開して競争を促したほうが市場の成長につながる、という判断ゆえだ。「トヨタ1社でFCVを15車種もつくることはない」と、米自動車関連サイトの編集者ジョン・オデルは言う。「1車種だけでは消費者の関心は続かない」
FCV普及にとって大きな障害となっているのは燃料だ、という声がある。FCVの販売台数が最多のカリフォルニア州でも今のところ、燃料ステーションの数は圧倒的に少ない。より多くのメーカーが参入すれば、ステーションも増設されやすいだろう。
ほかにも問題はある。アメリカではいまだに「水素を使う燃料電池車は爆発しやすい」という誤った認識を持つ人々がいる。
水素燃料のよりクリーンな生産方法も考案しなければならない。水素燃料の約95%は温室効果ガスのメタンから作られるが、燃料電池を作る際には二酸化炭素や一酸化炭素が発生する。
トヨタが全特許のうち、水素ステーション関連の約70件については無期限での無償公開としたのも、インフラ整備を重視したためだ。自ら開発競争の起爆剤となり、市場をつくり出すトヨタの狙いが当たれば、燃料電池車は思ったより早く手の届く存在になるかもしれない。
[2015年1月20日号掲載]