中東の金満エアラインがアリタリア航空を救済へ
スウィートルームに専属のシェフまで付く豪華客室が人気のエティハド航空が、欧州の航空会社を次々と傘下に
「空飛ぶホテル」 オイルマネーで潤うアブダビ政府をバックに世界一を目指す Ben Job-Reuters
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに本拠を置くエティハド航空は先週、経営危機にあえぐイタリアのアリタリア航空に49%出資することで合意した。エティハドにとって、最大規模の外国航空会社への投資だ。
英スカイトラックス社の世界航空会社ランキングでアリタリアは100社中70位だが、エティハドは7位。独立したリビングとベッドルーム、シャワールームに加え、専任の執事やコンシェルジュ、シェフまで付いた豪華な客室が人気を呼んでいる。
「欧州は世界の主要地域の中で、航空会社の財政基盤が最も弱い」と、国際航空運送協会(IATA)のトニー・タイラーCEOはローマの会議で述べた。「アリタリアの状況は最悪レベル。(エティハドの出資は)驚きでも何でもない」
タイラーによると、欧州の航空会社全体の今年の税引き後利益の見込額は28億ドル。乗客1人当たり約3.23ドルで、北米系航空会社の3分の1以下だ。
イタリア政府は昨年、6億8100万ドルのアリタリア救済策をまとめたが、今年6月には運転資金が数カ月で底を突く状態に。経営陣は9億5400万ドルの債務圧縮を目指して銀行と交渉中だと明らかにした。
「エティハドは理想的な戦略パートナーであり、当社の長期的な成長見通しを強化するものだ」と、アリタリアのロベルト・コラニーノ会長は語る。現時点で支援の詳細は不明だが、イタリアのルピ運輸相は先月初めに、エティハド側の出資額は7億6160万ドルで、今後数年間に9億4100万ドルを追加出資する見通しだと述べた。