インド新首相が掲げる「モディノミクス」の実力
グジャラートモデルをあがめる人々に突き付けたいのは、より良いモデルはほかにたくさんあるという事実だ。04年から12年までの国民1人当たりのGDP成長率は、グジャラート8%に対して、タミルナド州8.6%、ビハール州は15%だった。
1人当たりの公共支出ではグジャラートは29州中12位。貧困削減、女性の識字率、幼児死亡率では、それぞれ14位、15位、17位という凡庸な順位だ。
モディがグジャラートモデルをインド全土で展開するには多くの障害がある。連邦制度の下では中央政府より各州の自治権が強い。多くの州でモディの政敵が首相になっており、モディは彼らの機嫌を取らなければならないだろう。
モディがどんな経済政策を取るのかはまだ見えてこない。今回の選挙は首相候補たちの人間性や私生活にばかり焦点が当たり、重要な政策論議は後回しにされた。モディは人材、貿易、テクノロジー、観光、伝統の5つで「インドブランド」を促進すると発表したが、具体的なことは何も伝わってこない。
モディは公務員の削減、政府の効率化、労働法の改正、賃上げなどにも取り組む必要がある。どれも時間がかかり、実現できる保証のない難題だ。
今回の総選挙は、いわば貧困対策と経済成長どちらを優先すべきかを問う国民投票だったが、モディは両方を実現できると豪語してきた。だが彼がよく使った「統治」「高潔」「成長」という言葉は、ひいき目に見ても薄っぺらい。
From GlobalPost.com特約
[2014年5月27日号掲載]