最新記事

教育

あなたを中毒にする外国語学習アプリ

2014年4月25日(金)12時45分
セス・スティーブンソン

知らぬ間にボランティア

 デュオリンゴは無料だし、広告も取っていない。では、どうやって稼いでいるのか。実は利用者を「ボランティア翻訳者」として使っているのだ。

 デュオリンゴを使っていると、勉強のために実際の文書を翻訳してみないかと誘われることがある。この課題が投稿ニュースサイト、バズフィードの記事だったりする。上級学習者の翻訳を集めて組み合わせれば、驚くほど正確な翻訳が出来上がる。これが収入源になっている。
 
 いまデュオリンゴは、英語から数カ国語への翻訳サービスで、バズフィードのほかにCNNと契約している。今も年間数十万㌦の売り上げがあるが、もっと増えるだろうとフォン・アンは言う。「翻訳サービスは年間300億㌦の巨大市場だ」

 利用者に「ただ働き」をさせる手法は、フォン・アンには目新しいものではない。彼は画像認証技術CAPTCHA(キャプチャ)の開発者の1人だ。

 CAPTCHAという名前は知らなくても、このシステムはきっと誰もが使っている。例えばコンサートのチケットをオンラインで買うときに、ゆがんだ欧文や数字が出てきて、それを入力しろと言われた経験は多くの人があるはず。面倒だが、応答者がコンピューターでないことを確認する手続きだ。

 CAPTCHAへの応答を集めることで紙の本をデジタル化するreCAPTCHAが開発され、その後グーグルに買収された。これは実にずる賢い「クラウドソーシング」だ。

 ユーザーはreCAPTCHAで2つのことをやらされている。1つはぼやけた文字を読み取って入力することで、自分が人間だと証明すること。もう1つは、古い新聞記事や本をスキャンした文字をキーボードで入力して、それらの文書の保存に貢献すること。この作業を利用者に委ねることで、グーグルはデジタルの膨大な「ライブラリー」を築き上げている。

 こうしたプロジェクトには、大変な数の参加者が必要だ。フォン・アンによれば、最優秀アプリに選ばれてから1週間でユーザー数は1600万人から2000万人に増えた。今では1日10万人ずつ増えているという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中