あなたを中毒にする外国語学習アプリ
知らぬ間にボランティア
デュオリンゴは無料だし、広告も取っていない。では、どうやって稼いでいるのか。実は利用者を「ボランティア翻訳者」として使っているのだ。
デュオリンゴを使っていると、勉強のために実際の文書を翻訳してみないかと誘われることがある。この課題が投稿ニュースサイト、バズフィードの記事だったりする。上級学習者の翻訳を集めて組み合わせれば、驚くほど正確な翻訳が出来上がる。これが収入源になっている。
いまデュオリンゴは、英語から数カ国語への翻訳サービスで、バズフィードのほかにCNNと契約している。今も年間数十万㌦の売り上げがあるが、もっと増えるだろうとフォン・アンは言う。「翻訳サービスは年間300億㌦の巨大市場だ」
利用者に「ただ働き」をさせる手法は、フォン・アンには目新しいものではない。彼は画像認証技術CAPTCHA(キャプチャ)の開発者の1人だ。
CAPTCHAという名前は知らなくても、このシステムはきっと誰もが使っている。例えばコンサートのチケットをオンラインで買うときに、ゆがんだ欧文や数字が出てきて、それを入力しろと言われた経験は多くの人があるはず。面倒だが、応答者がコンピューターでないことを確認する手続きだ。
CAPTCHAへの応答を集めることで紙の本をデジタル化するreCAPTCHAが開発され、その後グーグルに買収された。これは実にずる賢い「クラウドソーシング」だ。
ユーザーはreCAPTCHAで2つのことをやらされている。1つはぼやけた文字を読み取って入力することで、自分が人間だと証明すること。もう1つは、古い新聞記事や本をスキャンした文字をキーボードで入力して、それらの文書の保存に貢献すること。この作業を利用者に委ねることで、グーグルはデジタルの膨大な「ライブラリー」を築き上げている。
こうしたプロジェクトには、大変な数の参加者が必要だ。フォン・アンによれば、最優秀アプリに選ばれてから1週間でユーザー数は1600万人から2000万人に増えた。今では1日10万人ずつ増えているという。