最新記事

教育

あなたを中毒にする外国語学習アプリ

2014年4月25日(金)12時45分
セス・スティーブンソン

誰もくじけない学習法

 ユーザーが勉強すれば、翻訳ビジネスがはかどるだけではなく、デュオリンゴ自体の改善にもつながる。「形容詞と副詞のどちらを先に教えればいいかを考えるとき、2つの方法をユーザーにやらせる。その結果、効果の高かった学習法を採用する。こうして教え方をかなり変えてきた」と、フォン・アンは言う。

 スペイン語圏の人に英語を教える場合、最初は人称代名詞から教えていた。しかし、英語の「It is snowing outside.(外は雪が降っている)」の「it」の用法はスペイン語にないので、初心者は戸惑った。「だから、もっと後で教えることにした。最初でくじけないように」

 デュオリンゴはスピードがあって、楽しく、しかも寛容だ。文法はほとんど説明しない。学習者をプールに放り込み、泳げなかったら助けてくれ、それからまた放り込む。やがて学習者は、自分が水に浮いていることに気付いて大喜びする。

 高校のフランス語の授業のように動詞の変化を延々と暗唱させられたりしない。「駅はどこですか?」のような退屈な文の繰り返しもない。しかし数カ月ですっかり話せるようになる。

 フォン・アンによれば、デュオリンゴをきちんと修了すれば、ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)のB2(中級の上)レベルになれる。「ネイティブのようには話せないし、簡単な構文や単語を使うだろう。仮定法は間違っているかもしれない。それでも、聞いたことは理解できるし、本も読めて、映画も見られる」

 私にはそれで十分。さて、この辺で失礼しよう。もう少し勉強したいから。そしていつか、ペドロ・アルモドバル監督の映画を全部見てやる。アスタ・プロント!(また後ほど!)

© 2014, Slate

[2014年3月 4日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中