最新記事

教育

あなたを中毒にする外国語学習アプリ

ゲーム感覚で楽しく学べて利用者が1日に10万人増えている人気アプリ「デュオリンゴ」の秘密

2014年4月25日(金)12時45分
セス・スティーブンソン

モバイル学習 面白いのに無料で広告もなし。その仕掛けは? Mattjeacock-Istock Vectors/Getty Images

 アップルが発表した「2013年最優秀iPhoneアプリ」は、外国語学習サービスの「Duolingo - デュオリンゴ」だった。以来、筆者の周りでは、ドイツ語やフランス語の勉強を始めた人が明らかに増えている。

 そう言う私も、デュオリンゴでスペイン語を勉強し始めた。調子はどうかって? 「エクセレンテ、ミス・アミーゴス!(最高だよ、みんな!)」

 今のところデュオリンゴには、英語が母語の人向けのスペイン語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語のコースのほか、これらの言語とオランダ語、ロシア語、ハンガリー語、トルコ語を母語とする人向けの英語コースがある。今後さらに増える予定だ。

 このアプリには、位置情報に基づくSNSのフォースクエアや画像共有アプリのインスタグラム、あるいは人気のリアリティー番組『バチェラー』と大きな共通点がある。成功のカギが、ゲーム仕立てで興味をかき立てる「ゲーミフィケーション」にあることだ。これらはどれも、気軽な「競争」の要素を含んでいる。

 人間がゲーム好きであることを、デュオリンゴはよく分かっている。外国語の習得には反復練習が必要なことも分かっている。だからデュオリンゴは語学の勉強を、ちょっとしたエンターテインメントに変えた。ビジュアルや動画を駆使して、1つのレッスンを終えるとファンファーレを響かせて祝ってくれる。

 それぞれのレッスンは面倒がなくて楽しく、早く次に進みたいと思わせる。スペイン語の接続詞と前置詞に夢中になって時がたつのを忘れるなんて、誰が思っただろう。

 だがデュオリンゴがもっとすごいのは、完全に無料だということ。共同創設者のルイス・フォン・アン(34)によれば、今後もずっと無料だという。

 フォン・アンがデュオリンゴの利用者に想定しているのは、イタリア語に磨きをかけたいニューヨークのエリート層よりも、生活レベルの向上のために外国語を勉強したい中南米の人々だ。

「外国語を勉強したい人の大多数は、良い仕事に就くために英語を学びたいと思っている」と、フォン・アンは言う。「でも、語学の勉強には金が掛かる」

 そう語る彼はグアテマラ育ちだが、高校までの間に英語教育を受け、今は米カーネギー・メロン大学の教授だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米バークシャー、24年は3年連続最高益 日本の商社

ワールド

トランプ氏、中国による戦略分野への投資を制限 CF

ワールド

ウクライナ資源譲渡、合意近い 援助分回収する=トラ

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中