世界に「輸出」されるイギリス執事の技
2013年5月31日(金)13時26分
イギリス人執事と、イギリスで訓練を受けた執事の需要は既に供給を上回っているが、市場が本格的に拡大するのは2〜3年後になるとみられていると、ウィリアムズは言う。「中国人は執事を手当たり次第に集めようとしている」
この状況を誰もが喜んでいるわけではない。業界の成長とともに「礼儀作法の黄金時代」が過ぎ去ったとこぼす古株もいる。
「すべてが失われた」と嘆く78歳のリック・フィンクもその1人。53年に英国海軍のスチュワードとして仕事を始め、現在は執事の教育にも携わっている超ベテランだ。「現在の訓練内容はひどくお粗末だ。正しい靴の磨き方やアイロンのかけ方など、昔ながらの技能を身に付けさせなくてはならない」
だが執事養成教室を運営するスチュアートは、「伝統的なやり方が廃れることはないと思う」と、地下にある教室で言った。近くのテーブルの上には、磁器や2人分のナイフやフォーク、3種類のグラス、きちんと畳んだナプキンが置かれている。「上質の暮らしを望む人々がいなくなることはない」
[2013年5月21日号掲載]
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