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消費iPhone5よりいい「買い物」探し術
革命的ではない新製品を買うより、もっと有益で社会にも役立つお金の使い道がある
大きな幻想 iPhone5を手に入れてもコミュニケーションの方法が一変するわけではない Lucas Jackson-Reuters
私はアップルの「iPhone5」に興味がない。新しい機能も、地図アプリの不具合も、納品スケジュールもどうだっていい。
カスタマイズした自分のiPhoneをインスタグラムで公開するのも、どうかと思う。愛する子供やペットじゃあるまいし。たかがプラスチックと金属でできた携帯電話ではないか。
もちろんiPhoneは大ヒット商品ではある。向こう数カ月で1000万台も売れる見込みで、平均価格299ドルとして総売上額約30億ドルになる。確かに景気拡大に貢献しそうだ。
とはいえ、社会に大きな変化をもたらすことはないだろう。iPhone5を使ったからといって仕事やコミュニケーションの方法が一変するわけではない。
起業家の「プチ」エンジェルに
iPhone5を買うくらいなら、そのお金をもっと有効に使えるのではなかろうか。例えば、住宅の値下がりで困っている人に100台分の代金を提供したら、より低利の住宅ローンへの借り換えが可能になる。
ネット上で小口投資を募るウェブサイト「キックスターター」には、取りあえずの資金調達額の目標が数千ドルという事業がたくさん紹介されている。地域社会の開発に特化した金融機関に預金するのも一案だ。
国際派なら、途上国の起業家に少額融資を行う組織「キバ」を利用してもいい。iPhone1台分のお金を提供すれば、リベリアの行商人がヤシ油やコショウの仕入れをする手助けができる。うまくいけば、利子付きで払い戻しを受けることも可能だ。
手作り品の売買サイト「エッツィー」なら、温かみのある素朴な作品が買える。農産物直売所で買い物をするのもいい。
都市在住の高所得者の資金を集めて、市民の生産性と生活の質を向上させる企画を求められたら、私はニューヨークのメトロノース鉄道の車両内への高速インターネット導入を提案したい。公共の建物の省エネ化に投資するのも賢明だろう。
機能はiPhone4で十分
iPhoneをめぐる騒ぎは、保証期間が過ぎる前に陳腐化するように作られた商品の「消費狂騒曲」の繰り返しにしか見えない。
ただし、私はアップル製品が嫌いなわけではない。わが家には同社のデスクトップとマックブック・エアがある。iPad2台、iPhone3台、iPod4台、おまけに90年秋購入のマッキントッシュまである。
でもiPhone4を使い始める前と後で、自分の内面や能力が大きく変わったということはなかった。それに私にとって、スマホはiPhone4で十分。先を争うようにしてiPhone5を買いたがる人の気が知れない。
[2012年10月10日号掲載]