最新記事

ネット

FB化するグーグル新サービスに要注意!

2012年2月16日(木)15時21分
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)

 別の見方もできる。フェースブックはグーグルがこれまで経験した中で最大の脅威だ。グーグルは、フェースブックが持つデータを検索の対象にさせてもらえない。フェースブックは自分の土地を壁で囲い込んで誰も寄せ付けない。ということは、インターネットの中に私有地を作ろうとしているのと同じだ。グーグルが入れない土地だ。

 このことは、グーグルのビジネスに破壊的な影響をもたらしかねない。グーグルのビジネスモデルは、誰でもすべての情報にアクセスできる開放されたウェブ、という前提の上に成り立っている。開放されたインターネットがあるからこそ、グーグルの検索ボットはあらゆるデータにアクセスし、価値を掘り起こすことができるのだ。

 つまり、グーグルが生き残るためにはフェースブックの周りの壁を壊さなければならない。もしフェースブックのデータの山がどんどん大きくなったり、他の会社もまねをして私有地を囲い始めれば、グーグルの商売は先細りしていくだろう。

 グーグルが検索以外でやっていることは、この脅威ですべて説明がつく。グーグルが検索できないミニ・インターネットができるのを止めるためなのだ。

 携帯端末向けのグーグル製OS「アンドロイド」が存在するのも、アップルやマイクロソフトなどが、携帯を入り口にグーグル検索を使わない私有地を作り上げるのを防ぐためだ。

 グーグルは、万人がすべてのデータを共有すれば世界はより良い場所になると言う。壁に囲まれた庭も、ミニ・インターネットもない世界だ。

 だがフェースブックはグーグルの主張に納得していない。メディア企業がたどった運命を見れば分かる。新聞と雑誌はグーグルの口車に乗せられてコンテンツをすべてグーグルに開放した。グーグル検索に引っ掛からなければ、事実上存在しないのと同じになってしまうと恐れたからだ。そしてグーグル検索が読者を自社サイトに導いてくれることを期待した。

 だが結果は惨憺たるものだった。紙媒体の代わりにネット媒体で儲けようとしたメディア企業は破綻した。対照的に、グーグルは売り上げ300億ドルの巨大企業に成長した。しかも純利益率は30%近い。ほとんど法外な水準だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中