FB化するグーグル新サービスに要注意!
独禁法違反訴訟が望み?
フェースブックがグーグルの申し出を断り、自分たちのデータは自分たちだけで使いますと言ったとしても、誰が責められるだろう。フェースブックは多大な時間と金を投じて世界最大のソーシャルネットワークを作り上げたのだ。グーグルを入れてやる筋合いなどない。
壁にぶつかったグーグルは次善の策として、昨年グーグル+を立ち上げた。見栄えのいいSNSで、フェースブックより優れた点もいくつかある。
グーグルが思い描いているのは、たぶんこんな筋立てだろう。フェースブックは米政府に、グーグルが反競争的な方法でSNS市場のシェアを奪おうとしていると訴える。これに対してグーグルは、フェースブックこそデータへのアクセスを拒否している、と主張する。アクセスが許されれば、検索結果にフェースブックのデータも喜んで入れるのに、と正当性を訴える。
ポイントは、グーグル+はまだ4000万人のネットワークなのに対し、フェースブックは8億人と圧倒的に巨大だということ。もしフェースブックが小さなグーグル+を足掛かりにしたグーグルからのアクセスを拒否しているとすれば、政府の目にはフェースブックのほうがよほど反競争的に映るのではないだろうか。つまり独禁法違反訴訟こそ、まさにグーグルが望んでいることかもしれない。
フェースブックには交渉などの行動を起こすか、黙って事態を見守るかの選択肢しかない。ただしグーグルを訴えれば、相手の思うツボになってしまう。
当面は、グーグルにデータへのアクセスを認めるか、壁で守ったままにしてグーグル+がより魅力的なSNSに成長し利用者を奪われないよう祈ることだ。
数百億ドルの巨大市場の覇権を狙い、グーグルは強硬手段に打って出た。これはインターネットの未来とその覇者をめぐる戦いだ。独禁当局が自社に有利に動くことまで見越している。
「邪悪になるな」はもはや遠い過去になった。
[2012年1月25日号掲載]