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東南アジア世界のビールを飲み干すベトナム人
年間数十億リットルを消費する世界3位のビール市場ベトナムを、各国ブランドが虎視眈々と狙っている
巨大市場 地元ブランドも輸入ビールも人々は大好き Nguyen Huy Kham-Reuters
ベトナム人のほとんどは酔っ払っている。少なくとも、この国のビール消費量と輸入量に関する最新データに基づけば、そう思わざるをえない。
ベトナム国民は毎年、何十億リットルものビールを飲んでいる。新しいビール醸造所が作られ、既存の醸造所も増産を図っている。市場に出回っているビールのほとんどは国内ブランドか、ベトナムで生産している外国ブランド(シンガポールのタイガービールやデンマークのカールスバーグなど)だが、輸入ビールのシェアも拡大している。
ホーチミン市の税関当局は地元ニュースサイトに対して、缶入り・瓶入りの蒸留酒類、ビール、ワインの輸入は2009年、166万本に倍増したと話している。同じくオランダのビール会社ハイネケンは、昨年ベトナムで2億リットルのビールを販売したと語る。ハイネケンが販売されている世界170カ国のうちベトナム市場は現在、アメリカ、フランスに次いで3番目の規模。2012年には2番目の市場になると予想され、2015年には世界最大の市場になりそうだ。
水より安い庶民派「ビアホイ」
アメリカのミラー・ビールは「今こそアメリカの時」というスローガンを掲げて、猛攻をかけている。さらにラオスの「ビアラオ」といった周辺国のブランドも参入してきている。
人々が思い浮かべる伝統的なイメージとは違うかもしれないが、これが今日のベトナムの姿だ。米ニューヨーク・タイムズに掲載された旅行記事にはこう書かれている。「ベトナムを初めて訪れた旅行客は、地元や東南アジアの多種多様なビールが飲まれていることに驚くだろう。ビア・サイゴン、ビア・ハノイ、ビア・フエなど、都市一つひとつにちなんだビールがあるといっていい。どれが最高かは、どこで誰にたずねるかによって違ってくる」
しかし、どんなに輸入ビールが市場に氾濫しようと、庶民のためのビール「ビアホイ」を忘れてはならない。これは一杯約16セントという安価な生ビール。保存料が入っておらず、通常はその日に製造されたものを売っている。ボトル1本の水より安いといえば、味のほうは想像が付くだろうが......。