iPhoneが「アメリカ製」だったら
得意分野のハイテク部品も日本に丸投げ
対中貿易では黒字なのにiPhone貿易全体では赤字なのは、アメリカの貿易赤字の相手が中国ではなく、アジア全体であることを示している。iPhoneにまつわるアメリカの対中貿易赤字は、実は「対アジア赤字」なのだ。
そう考えると、さらに興味深い論点が浮上する。日本や韓国、台湾などのアジア諸国の労働コストは決して安くない、ということだ。日本と韓国は、富裕国が集まるOECD(経済協力開発機構)の加盟国でもある。
しかも、これらの国々が供給するiPhoneのハイテク部品(半導体チップや液晶ディスプレー、レンズなど)は労働集約型ではなく、高度に技術集約的な製品だ。アメリカが先導しているはずの分野の製品なのだ。
こうしたハイテク部品が本当にアメリカの得意分野なら、これらを国内で生産すれば対アジアの貿易赤字は解消されるだろう。iPhone貿易はアメリカに黒字をもたらし、2〜4万人の雇用も創出してくれるはずだ。なのにアメリカはなぜ、それをしないのか。
Reprinted with permission from The Clyde Prestowitz blog, 10/03/2011. © 2011 by The Washington Post Company.