iPadは本当に世界を変えたのか
一方、iPadのアクセサリ市場は既に数百億ドル規模に成長している。
液晶保護フィルムやケースはiPhoneなどのスマートフォン(高機能携帯電話)用にもあったが、値段の張るiPadは傷つけたくないというユーザーの欲求がもっと大きいと、ZAGG社のロバート・ピーダーセンCEOは言う。
同社は5年前から電子機器の保護用品を製造してきたが、iPadの発売後は売り上げが大幅に拡大。昨年は3800万ドルだった売り上げが、今年は6500万ドルに達する見通しだ。「わが社にとってiPadはホームランだ」と、ピーダーセンは笑う。
iPadは今後も新しいバージョンが登場するだろうから、ケースやスタンド、ワイヤレスキーボードなどアクセサリや周辺機器の売り上げもまだまだ伸びる。ウーによると、この分野でのiPadの経済効果は、来年1年間だけで10億ドルに達する可能性がある。
在庫管理やカルテにも
iPadは在庫管理という、より一般的な面においても画期的な変革をもたらすかもしれない。既に靴小売り大手のペイレス・シューソースは、iPadを使って在庫を調べるシステムづくりを検討していると、市場調査会社フォレスター・リサーチのアナリスト、マイケル・グアルティエリは指摘する。
その次は医療関係かもしれない。アメリカ全体で医療記録の電子化が進むなか、医者が患者の医療記録にアクセスし処置内容を記録できるアプリが登場する可能性がある。「在庫管理や記録管理が必要な業務用アプリの開発は、何であれ大きなチャンスだ」とウーは言う。
iPad版ゴールドラッシュが激化すれば、誰でも金脈を見つけられるとは限らない。だが15年までにiPadユーザー人口はあと数千万人は増える。それを考えれば、探る場所はいくらでもありそうだ。
[2010年11月 3日号掲載]