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ヨーロッパ

現実派アイルランドは復活できる

2010年6月2日(水)15時16分
ウィリアム・アンダーヒル(ロンドン支局)

 基本的に、アイルランドは自国の問題や失敗の原因は自分たちにあると認める。「アイルランド国民は信用収縮のせいで状況が一変したわけではなく、『ケルトの虎』路線が頓挫したと捉える傾向が強い」と英資産運用会社イグニス・アセットマネジメントのスチュアート・トムソンは言う。

今年後半には成長軌道へ

 ヨーロッパに拠点を置きたいと考えている外国投資家に対しては、今も好条件を提示して歓迎している。12.5%という同国の法人税率はヨーロッパで最低水準だ。

 債券市場以外でも、同国の高潔な姿勢は報われ始めている。財政赤字はもう増えていない。今年後半には再び成長軌道に戻り、11年から14年の間に成長率は4%になると政府は予想している。

 同時に、賃金や家賃の低下は世界市場での価格競争力のアップを意味する。09年の貿易黒字額は387億ユーロに達した。アメリカからの投資先としても、アイルランドはいまだ人気を保っている。アメリカ系多国籍企業の子会社が法人税収入のおよそ35%を占めるアイルランドにとって、これは大きい。

 どうやら世界には、飛べる豚もいるらしい。

[2010年4月21日号掲載]

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