最新記事

アメリカ経済

雇用回復の兆し、4つの理由

2009年12月8日(火)17時24分
ダニエル・グロス(ビジネス担当)

■理由4 自己申告の世帯調査に頼りすぎ

 労働省の月例雇用統計は2つの調査に基づいている。一つ目の就業者数は、企業が申告する従業員の数。もう一つは、各家庭に電話をかけて職の有無を尋ね、失業率を算出する世帯調査だ。

 ブッシュ政権時代には、就業者数の統計で雇用増が示されない場合、共和党はその数字を無視し、代わりに世帯調査の結果を引き合いに出して雇用増を主張した。起業などの自営業が増えた場合、企業が申告する従業員数には反映されないが、世帯調査には反映されるからだ。

 だが、企業の就業者数よりも世帯調査のほうが雇用情勢を的確に映し出しているという指摘に、私は昔から疑問をもっている。大半の人はフリーランスよりも、福利厚生や有給休暇がつく雇用形態を望んでいるはずだ。さらに、世帯調査での職の有無は自己申告に基づいている。

 それでも結局のところ、企業側の統計と世帯調査の両方が同じように雇用改善の方向に向かうことが最も望ましい。11月の世帯調査では、有職者数は22万7000人増加していた。

 たった一つの統計で、経済が回復していると言い切ることはできない。それでも11月の雇用統計は、昨年来続いてきた大失業時代の「終わりの始まり」といえるかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国BYD、インドネシア10億ドル工場の年内竣工目

ワールド

訂正-トランプ氏、メキシコとカナダに25%関税検討

ビジネス

トランプ関税が市場直撃、トリプル高も一転 株価高値

ワールド

世界平和・経済に日米関係生かす議論望む、トランプ氏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブーイングと擁護の声...「PR目的」「キャサリン妃なら非難されない」
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 7
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    台湾侵攻にうってつけのバージ(艀)建造が露見、「…
  • 10
    身元特定を避け「顔の近くに手榴弾を...」北朝鮮兵士…
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中