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EU金融規制を案じるイギリスの誤解

2009年12月8日(火)13時35分
ウィリアム・アンダーヒル(ロンドン支局)

 ロンドンの金融関係者は、域内市場担当の次期欧州委員にフランスのミシェル・バルニエ元外相が推薦されたことに頭を悩ませている。金融規制を担うこのポストにバルニエが就けば、市場に対する厳しい規制を好まないイギリス流のやり方への理解を得られる見込みは薄いと心配しているのだ。

 保守党の「影の内閣」の外相ウィリアム・ヘイグは、「イギリスにとって重要な経済的利益に関わる市場の問題について、フランスはわれわれとは異なる見方をしている」と言っている。

 だがこれらは、規制をめぐる動きを理解していない意見といえる。

 欧州委員会は2カ月前、IMFのジャック・ドラロジエール元専務理事が経済危機を受けて作成した報告書を基に、詳細な規制案を提示。加盟各国の政府も、それに大筋で合意している。

 提案には、EUに年金、銀行と証券を担当する3つの監督機関をつくることや、いずれはヨーロッパのすべての金融センターを1つの統制規則で管理する案が含まれている。ロンドンには、銀行監督機関の本部が置かれる見通しだ。

 欧州政策研究センターのカレル・ランノーは、将来「ヨーロッパの各金融センターの差は、規制については縮小し、競争力や効率性については拡大するだろう」と言う。つまり、バルニエの仕事はEU全体の政策を監督することであり、ロンドンの市場にフランスの価値観を持ち込むことではない、ということだ。

[2009年12月 9日号掲載]

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