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銀行行政「小さくてつぶせる銀行」を目指せ
当局の手でスリム化が進む英銀に対し、米銀は今も「大き過ぎてつぶせない」まま
リーマン・ショックの前後に公的資金で救済されたイギリスの大手銀行は、今も再建に向けて道半ばだ。11月、ネーリ・クルス欧州委員(競争政策担当)の勧告により、これら大手3行は規模の縮小や分割を迫られることになった。
昨年秋に合計370億ポンドの公的資金が注ぎ込まれたロイズ・バンキング・グループとロイヤル・スコットランド銀行は、数百カ所の支店と保険部門やインターネットバンキング部門を含む資産を売却する。サブプライムローン問題で経営破綻した住宅金融大手ノーザン・ロックは2分割されることに同意した。
その目的は小規模で健全な銀行に生まれ変わらせて、「大き過ぎてつぶせない」という事態の再発を避けることだ。
大手4行が預金の40%を握る米銀
さてイギリスの銀行がスリム化を図っているのに対して、アメリカの大手銀行は巨大なまま。金融情報サイトのモットリー・フールによると、JPモルガン・チェース、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカの4金融機関が、アメリカ人の預金の40%近くを牛耳っている。
しかし米議会にもヨーロッパと同じような動きがある。11月18日、下院金融委員会による金融規制改革法案に修正案が加えられた。巨大な金融機関が破綻する前に分割させる権限を連邦政府の監督機関に認めるものだ。
修正案を手掛けたポール・カンジョースキー議員は今年夏にEUの監督機関の担当者から話を聞いて、法案作りの参考にした。「感染が全身に及ぶ前に脚を切断する決定権を与える修正案だ」と、彼は本誌に語った。
[2009年12月 9日号掲載]