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【14】東欧という時限爆弾。
カチカチカチ......EU(欧州連合)に不吉な音が鳴り響いている。東欧や中欧の経済破綻という「時限爆弾」が爆発ヘと向かって音を立てているのだ。
04年以降12カ国がEU加盟を果たした中・東欧は、先進国に追い付け追い越せと企業も一般の国民も外国からカネを借りまくった。それもユーロなど金利の低い外貨建てのローンが人気を呼んだ。
だが無理な借金生活はあっけなく崩れた。安い労働力やユーロ参加への期待感に引き寄せられて中・東欧への投資を加速させていた外国資本が、景気低迷の影響で大量に流出。東欧諸国の通貨の価値が下落して、外貨建てローンの返済額が膨れ上がってしまった。
外国資本の流出入に翻弄された97年のアジア通貨危機と同じ構図だ。ハンガリーやウクライナなどがIMF(国際通貨基金)に緊急融資を要請する事態になっている。2月にはラトビアの国債の格付けが「ジャンク(くず)」格に引き下げられた。
問題は、欧米の金融機関が中・東欧へ総額1兆7000億ドルを貸し付けていること。その9割はユーロ圏の銀行による融資とされる。バルト3国などで借金が返せない「債務不履行」のドミノ現象が起きれば、西欧は大きな損失を被ることになる。
EUは3月、中・東欧を支援するための緊急基金を500億ユーロに倍増することを決めた。とはいえ西側も自国経済の立て直しに精いっぱい。今後も支援を続けるとは限らない。一方で時限爆弾が爆発すれば、自分たちが吹き飛ぶことも確か。厳しい選択を迫られている。
[2009年4月15日号掲載]