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在日米軍の真実
海兵隊の密着取材で見た
オキナワ駐留米兵の知られざる素顔
オキナワ駐留米兵の知られざる素顔
知られざる在日米軍の素顔
第4章──任務:ミグ殺し
「レイプ」や「ヘリ墜落」でのみ語られる沖縄の兵士たち
極東の楽園でイラクや北朝鮮の幻影と戦う彼らの真実とは
任務は日本防衛 嘉手納基地のF15戦闘機パイロット(ハフ中尉(左)、ルイス中佐) Peter Blakely-Redux
普天間基地の移設問題で、在日米軍の存在が再び問われている。沖縄での犯罪や事故といった問題のみがクローズアップされてきた在日米軍だが、彼らの勤務実態や日々の生活はあまり伝えられない。米軍再編交渉を目前にした2005年春、海兵隊の野営訓練から米空軍F15戦闘機飛行訓練まで、本誌記者が4か月に渡る密着取材で見た在日米軍の本当の姿とは──。
屋良朝徳(63)は定年後、海岸でのサイクリングや、北谷町にある「美浜アメリカンビレッジ」での無料足浴を楽しんでいる。屋良は、20万人が死んだ60年前の沖縄戦で両親を亡くした。米軍を敵視してもおかしくはない。
「一人ひとりの米兵に反感はない。子供のころからここにいるから、彼らを見ると当時を思い出す」と、屋良は話す。問題なのは基地の存在であり、そこにいるのがアメリカ人か日本人かは関係ないという。
それは米兵たちもわかっている。「もちろん、米軍の存在に憤っている人たちもいるだろう」と、リーチ上等兵は言う。「でも同時に、俺たちは沖縄の人たちをサポートしようとしている。生活の邪魔をせずに、だ。米軍がいるから、沖縄は攻撃される心配がない」
その点は議論の余地がある。北朝鮮は、朝鮮半島で再び戦争が起きれば、沖縄の米軍基地を攻撃すると警告している。
冷戦当時、米軍の存在が地域に力の均衡をもたらし、平和主義の日本に対する攻撃を抑止した。だが今では東アジアの安全保障は日米双方にとって困難なものになっている。北朝鮮は核保有を宣言し、急速な軍拡を進める中国は、台湾独立の動きがあれば武力で阻止する姿勢を明確にしている。
ここに米軍駐留のジレンマがある。沖縄の基地、とくに嘉手納空軍基地は、紛争が起きる危険性のある地域に近いため、「太平洋の要石」と言われる。嘉手納所属の第44戦闘中隊司令官、ウィリアム・ルイス中佐も、こう言う。「台湾、中国、朝鮮半島は射程距離内」だ。だがそのせいで沖縄が標的にされると、地元の人々は心配している。「北朝鮮と戦争になれば、沖縄の米軍基地は攻撃されるだろう」と、屋良は言う。「戦争になると、みんな正気でなくなる」
第44戦闘中隊の本部へ行く途中に、1軒のバーがある。名前は「バットケーブ(コウモリの洞窟)」。中隊のあだ名が「バンパイア」だからだ。バーの壁には、パイロットの名前入りのビアマグがかけられ、冷蔵庫には飲み物がぎっしり。壁にはF15戦闘機とパイロットの写真も張ってある。テーブルにはこんな走り書きもあった。「ミグ殺しに力を合わせよう」。Killing MiGs is a team effort(ミグはロシア、中国、北朝鮮が使用する戦闘機)。
バンパイアの発足は41年。日本との間には長い歴史がある。真珠湾で零戦に戦闘機の大半を破壊され、ソロモン諸島では日本軍を玉砕に追い込んだ。
60年後の今は、その日本を守っている。「任務は日本の防衛だ。日本から要請があれば、それに応じる。(中国や北朝鮮が)何かしたら、たたきのめすまでだ」と、F15戦闘機のパイロット、ハフ中尉は言う。
兵士には、アメリカ外交の道具であるというジレンマがつきまとう。「大統領が選出された時点で、私は大統領とその意思を忠実に守る。それが民主主義だ。国民がリーダーを選ぶんだから」と、ハフは言う。「でも決定は合法的であることが大前提だ。大統領が大量虐殺を命じたら、『何ですって?』と聞き返すさ」