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2009年最もお騒がせだったのは?
2009年最もお騒がせだったのは?
日本で政権交代
8月の衆議院選挙で民主党が圧勝、アメリカと「対等」の関係を目指す鳩山由紀夫が首相に就任した
「ハトヤマは反米主義」の疑心暗鬼
NYタイムズに掲載された「鳩山論文」にワシントンで疑念噴出。 新政権への過剰な反応は同盟関係の先行きの何を占うのか
半世紀にわたり、太平洋をまたいで盟友関係を保ってきた日本とアメリカ。両国の政府関係者が顔を合わせれば、双方は必ずといっていいほど両者の同盟関係をアメリカの対アジア政策の「礎」と持ち上げ、「世界で最も重要な二国間関係の1つ」と誇らしげに語ってきた。
だが、この幸せに満ちた日々も終わりに近づきつつあると不安がる声が先週アメリカで噴出。これまで日米関係を築き上げてきた自民党に代わり、アメリカの対アジア外交をしばしば批判してきた民主党が政権を担うことで、欧米メディアや一部の知日派専門家らは疑心暗鬼になっている。
騒ぎ過ぎだろう。確かにアメリカ側からすれば悪い兆候ばかりに見える。対米外交で主体的な姿勢を貫くという民主党の選挙公約は、日米の安全保障同盟を損ないかねないとの憶測を呼んだ。選挙期間中、民主党は海上自衛隊によるインド洋での給油活動の中止や、米軍普天間飛行場の移転計画の見直しについても言及した。社民党との連立交渉を進めていることも、日米外交の足かせになるとみられている。
ホワイトハウスの記者会見で日本が話題になることはめったにないが、民主党圧勝が伝えられた翌日8月31日の会見では、日米関係が悪化するのではという趣旨の質問が記者団から飛んだ。
米国務省も神経過敏になっているようだ。同じ日、国務省のイアン・ケリー報道官は、普天間基地の県外移設や米海兵隊のグアムへの移転問題について「再交渉するつもりはない」と、すぐさま民主党を牽制した。だが、何よりも米政府を仰天させたのは、8月27日付のニューヨーク・タイムズ(ウェブ版)に掲載された、次期首相の鳩山由紀夫代表の名前で書かれた論文の抜粋だ。
「冷戦後の日本は、アメリカ発のグローバリズムという名の市場原理主義に翻弄され続けた」
「冷戦後の今日までの日本社会の変貌を顧みると、グローバルエコノミーが国民経済を破壊し、市場至上主義が社会を破壊してきた過程と言っても過言ではないだろう」
これだけを読むと、まるで反グローバリズム活動家によるヒステリックな反米論議に聞こえる。
ワシントン・ポストは早速、9月1日付の社説で「(北朝鮮の核問題を抱える)日本政府は米政府と仲たがいすべきでない」と警告。保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のキム・ホームズ副会長は、これまで続いてきた日米間における緊密な関係の「時代は終わるかもしれない」との論評を9月3日付のワシントン・タイムズに寄稿した。
ニューヨーク・タイムズは9月2日付の記事で、アフガニスタンの対テロ戦争などアメリカの重要な政策に対して日本が支持を後退させるのでは、という懸念がオバマ政権内で高まっていると指摘。「日米関係に劇的な変化が生じることへの恐怖が存在する」という、アメリカン・エンタープライズ研究所の対日専門家マイケル・オースリンのコメントを紹介した。
「アメリカ大好き人間」を自任
日本で事実上初めて本格的な政権交代が起きることを考えれば、アメリカでこうした不安や憶測が飛び交うのも理解できる。
だが、これらの憶測は見当違いもいいところだ。インド洋の給油活動をめぐる問題など、確かに日米両政府は難題に直面するだろう。とはいえ、鳩山は決してアメリカで騒がれているほど過激な人物ではない。